こんなリアリティなら要らない! そんな声が続出していたようだ。
2月7日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第89回では、ヒロイン・スズ子(趣里)の養父である梅吉(柳葉敏郎)が香川から上京。孫の愛子を見て大喜びする様子が描かれた。
妻のツヤ(水川あさみ)に先立たれ、しばらくは東京でスズ子と父娘の共同生活を送っていた梅吉。だがスズ子が歌手として多忙になるにつれ、自分の居場所を失っていた梅吉は、故郷の香川に帰郷していた。
今回、梅吉が香川で写真館を営んでいることが明かされることに。もともと映画関連の仕事を目指していたことから、せめてもの近い仕事を選んだのだろうか。そんな裏設定に感心する視聴者もいるなか、梅吉が見せた態度に激怒する向きもあったというのだ。
「スズ子の自宅を訪れた梅吉は、愛子を抱くスズ子を孫ごとハグ。すると愛子が泣き出してしまいました。この泣き声自体はアフレコかもしれませんが、スズ子から愛子を受け取った場面では、赤ん坊が明らかに梅吉を拒否してギャン泣き。その様子に《赤ん坊が嫌がっているだろう!》《こんなの虐待じゃん》といった怒りの声が続出していたのです」(子育て中の女性誌ライター)
さらに梅吉は夕食時に、お食い初めだと言い張っては愛子の口元に箸でつまんだ魚をあて、これまた赤ん坊が泣きだすことに。これも愛子役の赤ん坊がリアルに嫌がって泣いていたに違いない。
最近のドラマではリアリティを求めるためか、赤ん坊もダミーではなく、本物の赤ちゃんを子役として起用するケースが増えている。もちろん撮影現場には実の母親がついているはずだが、母親と同じ女性であるスズ子に抱かれるのとは異なり、まったくの他人である男性の梅吉に抱き上げられるのは、赤ん坊にとっては恐怖でしかないのではないか。
しかもお食い初めを強要する場面に至っては、まだ離乳食も口にしない月齢であろう赤ん坊の口に食べ物を押し付けるという、常識的にあり得ない演出となっていた。赤ん坊のギャン泣きすらも演出の一環と捉えている制作スタイルには、違和感を通り越して怒りを感じる視聴者が続出するのも無理はない。
「せめて幼稚園児くらいになれば、ドラマの撮影では虚構を演じることを理解できるでしょう。しかし赤ん坊には自分が撮影されていることを理解できるはずもなく、ただただ不快な状況に置かれるだけ。これはもはや赤ん坊に対する虐待と言っても過言ではないのでは。子を持つ親として、愛子が泣く場面には不快感しか抱けず、ドラマの内容などちっとも頭に入ってきませんでした」(前出・子育て中の女性誌ライター)
よもや保護者たる母親が了承していれば、赤ん坊の不快感など考慮する必要もないということか。そういったドラマの制作スタイルは大きな問題をはらんでいるのではないだろうか。
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