日本人にとっても他人事ではないアカデミー賞授賞式での“アジア人差別騒動”。96回目を数えた授賞式では、主演女優賞を獲得したエマ・ストーンと、助演男優賞に輝いたロバート・ダウニー・Jrが、オスカー像のプレゼンター役を務めたアジア系俳優2人に対し、それぞれトロフィーの受け取り方が失礼で、かつ“目も合わせなかった”などとして物議を醸している。
だが、同授賞式で、視覚効果賞を受賞した映画「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督による失言もまた、同じく波紋を呼んでいるという。
3月12日夜、アメリカから日本へ帰国し、羽田空港で会見に応じた山崎監督は、オスカー像を手渡された瞬間について言及。ステージには受賞作品を発表するプレゼンター役として、ともにハリウッドのベテラン俳優であるアーノルド・シュワルツェネッガーと、ダニー・デヴィートが登壇していたが、山崎監督は「シュワルツェネッガーさんからもらいたかったんですけど…。言っちゃいけないのかな?(笑)もちろん、ダニー・デヴィートさんでも全然嬉しいんですけど、『あ、オレたち、“こっち”なのね』っていう感じでした」と、本音を漏らしてしまったのだ。
「山崎監督による発言はロバートやエマに疑われているような差別的なものとは異なりますが、ハリウッドで約50年のキャリアを誇る名優を『こっち』呼ばわりしたとして、このシーンを見た一本当に失礼だな!』『居酒屋じゃないんだから、もうちょっと言葉を選べないものかな』『これがダニー・デヴィートの耳に入らないといいな』『自分が言われたらイヤでしょ』『舞い上がっている時こそ、その人の持っている品格が出てしまうもの』などの反応がズラリ。シュワルツェネッガーが、1980年代から90年代にかけて、男子を最も熱狂させた大スターとあって、『気持ちはわかる』とする声もありますが…」(テレビ誌ライター)
もっとも、「シュワルツネッガーさんからもらいたかったんですけど…」と言った直後に隣に座っていたVFX(視覚効果)ディレクターの渋谷紀世子氏に「それ言う?」と笑いながら突っ込まれた後に、かなり慌てた様子で懸命に軌道修正しようとする中で出た「こっち」発言だったと思われ、栄誉ある賞を受賞した興奮のあまり、リップサービスをしようとした人間味も、むしろ垣間見えた。ともあれ、今後山崎監督が、ますます活躍を重ねていく中で、こうしたケアレスミスは減っていくものと信じたい。
(木村慎吾)