ポケモンカードを「大きなお友達」が買い占めてしまい、カードゲームを楽しみにしている子供たちが買えなくなって久しいが「ちいかわグッズ」も同じ道をたどりつつある。
ちいかわのオリジナルグッズを扱う公式ネットショップ「ちいかわマーケット」で新作が発売開始された3月27日には、熱狂的ファンの間で秒を争う争奪戦となり、X上では〈#ちいかわ戦争〉が一時トレンドワード入りした。
どうせ転売ヤーが、秒で売り切れた新作ぬいぐるみを買い占めているんだろと、フリマサイトをのぞけば…そこは「ちいかわ」作者のナガノ氏がたまに描くグロ展開の上を行くカオスだった。
たとえば3月25日から発売開始されたちいかわとチロルチョコがコラボした「ちいかわチロルチョコBOX」。15個入り税込参考価格324円(1個あたり約21円)のところ、10倍の3000円の売値は当たり前。中にはチロルチョコを食べた後の包み紙に300円、500円の値を付けて売り出している転売ヤーもいる。10袋3万円のぼったくり価格で売られていた終売となった明治チェルシーもそうだが、フリマアプリは食べ物の転売禁止ではなかったのか。
またはカバンかリュックにつけて一緒に歩いた後なのだろう。まるで「闇堕ち」したかのように顔が真っ黒に汚れたちいかわとハチワレが500円で売りに出されていた。季節柄、学校を卒業した子供が出品したのかもしれないが、長年連れ添ったのに洗われもせずに出品されているちいかわの目がウルウルして見えるのは気のせいか。
名古屋のPARCOで売られているちいかわの限定パッケージ「黒烏龍茶」(税込500円)も定価の20倍の1万円の値段で転売。現在ちいかわとコラボキャンペーン中の「くら寿司」の抗菌カバーにつけれられた、ちいかわ、うさぎのフィギュアも、非売品のはずなのに、なぜか444円という微妙な値段で売り出されている。
あまりの無双っぷりに、SNSでは冒頭のハッシュタグ「#ちいかわ戦争」に続けて「ちいかわの全てがどうでも良くなった」「ちいかわマーケットを開く気も起きない」などの恨み節がずらりと並ぶ。このまま転売ヤーの好きにさせていると、ちいかわ人気に影響するのではと余計な心配をする記者もどうせ買えない「ちいかわ」グッズへの物欲と煩悩はすっかり消え失せ、悟りを開いた心境だ。
例外は、前述したように非売品のはずのものまで出品されていた「くら寿司」のコラボグッズ。くら寿司は相当数のガチャとノベルティを用意していたのだろう。フリマアプリへの出品数があふれ、値崩れを起こしていた。
ちいかわに限らず、やはり転売ヤーを退治するには「受注生産」「追加生産」「大量生産」しかないのだろう。そして節操のない転売ヤーからは買わないに尽きる。
(那須優子)