政府による働き方改革の推進やリモートワークなどが広まった背景もあり、「フリーランスとして独立したい」と考えている人も多いのではないでしょうか。とはいえ、「計画なしに辞めてしまうとさまざまなリスクが襲ってくる」ことだけは知っておいたほうがよさそうです。
あるIT企業から独立して、フリーランスとなったAさんのお話をしましょう。この人はエンジニアとしての実力があったため、独立後すぐに仕事が舞い込み、順調なスタートを切りました。「初年度に住民税の請求が50万円近く来て驚いた」そうですが、退職金などの蓄えもあったので無事に支払えました。
でも、その他の税金も想定外でした。翌年の確定申告で支払うべき税金が確定。自動車税、住民税、国民健康保険料の額を見て愕然としたそう。「経費を使ったほうが所得税は少なくなる」との情報を聞きつけ、飲食代などに多額の経費を使っていたので、貯蓄は底をついたのです。
このように、お金を用意しておかなければ大変なことになります。最悪の場合、支払いができずにそのまま廃業ということにもなりかねません。これは一例ですが、独立“あるある”でもあります。独立すると、会社員時代とは税金面で大きく変わるということを知っておかなければなりません。
税理士法人TOTAL神田事務所所長で税理士の廣岡 実さんの著書「お金の管理が苦手なフリーランスのためのお金と税金のことが90分でわかる本」(アスコム刊)には、フリーランスになったらまず押さえておきたい税金の種類としくみとして、会社員とフリーランスの税金の違いについて分かりやすく書かれています。
会社員時代には、税金や健康保険、年金が天引きされていますが、フリーランスはそれらすべてを自分で払う必要があります。また、税金の支払いは後からきます。これらに注意しなければ、Aさんの例のように税金の支払い段階になってから「資金が足りない」ということになりかねません。税金の支払いが済むまでは、本当の意味でお金は自分のものではないという感覚を持つことが大事なんだそうですよ。
■成功するフリーランスの経費の使い方と節税法とは?
この著書には、成功するフリーランスの経費の使い方と節税法も書かれています。例えば、「赤字にしたほうが税金の支払いが少なくて済む」という考え方は推奨しないとあります。手元にお金が残らなくなってしまうからのようです。
“儲けがあるところに課税あり”というビジネスの基本から、手元にお金を残したいのであれば、経費として使って計上するよりも所得税はきちんと払ったほうがお金は必ず残るとか。目先の節税よりも、利益の確保をすることが一つのポイントとなるそうです。
「フリーランスになりたい!」と考えているのなら、お金の仕組みや税金について理解を深めておきたいものですね。