サッカー日本代表で、レアル・ソシエダに所属するMF久保建英が同チームで好成績を上げ、5月29日に国立競技場へ“凱旋”した。東京ヴェルディとの親善試合に先発し、トリッキーなプレイで観客を沸かせる場面もあったが、スタジアムに目立った空席に驚くネットユーザーも多かったようだ。
2023-24シーズンのラ・リーガで30試合出場7ゴール4アシストと活躍した久保は、この日も「4-3-3」フォーメーションの右ウインガーとして先発出場し、得意のドリブルとパスでヴェルディを翻弄。前半41分には股抜けからの突破で勢いよくシュートを放つなど、ソシエダのキープレイヤーという重責に恥じないクオリティーを見せつけていた。
試合は前半と後半で得点を重ねたソシエダが、アウェイながら2-0で勝利。“日本の至宝”である久保にとっても実りあるエキシビションマッチとなったはずだが、スタジアムには3階席での空席が目立ち、SNSでは「国立のスタンド、ガラガラ」「客、入ってないですね」とする反応も上がっている。
「2002年の日韓W杯以降、ヨーロッパのビッグクラブが来日して親善試合を組む興行が始まりましたが、当時と比べると、海外サッカーに対する興味関心はやや薄れているような傾向が見られます。その要因の一つとして、かつては中田英寿や中村俊輔、小野伸二など、海外でプレイする選手が数人の規模だったのに対し、現在は代表チームに選ばれるほぼ全ての選手が海外組という状況。この日本人選手のレベル底上げにより、久保のようなケースが“普通”となったことで、スタジアム観戦の需要も落ち着いた可能性があります。また、23年夏にも欧州屈指の強豪バイエルン・ミュンヘンやマンチェスターシティ、インテルなどが来日しましたが、その際も空席はあったので、なかなか海外クラブで満席を作るだけでも難しくなっているようです。加えて、久保の国内人気の高さは言わずもがなですが、レアル・ソシエダについてはスペインの中堅クラブという位置付けで、そのあたりのことも空席が見られた要因かもしれません」(スポーツライター)
また、欧州リーグが閉幕した直後とあって、“真剣勝負”のムードはなく、ケガのリスクを恐れたのか、主役の久保もハーフタイム直後の後半3分に交代。負傷以外でこのタイミングにピッチを後にするケースは珍しく、スタジアムに駆けつけたファンからは驚きの反応も上がった。
様々な要因はあれど、日本代表選手の全体的なレベルが向上し、サポーターの目も肥え始めたというのが実態なのかもしれない。
(木村慎吾)