元スペイン代表の“レジェンド”にJリーグ参戦の可能性が浮上した。ところが当の国内クラブの間では、“巨額での入札”に二の足を踏む傾向が強まっているという。
その“レジェンド”とは、名門レアル・マドリードで長く不動のセンターバックとして君臨し、昨季はユース時代を過ごしたセビージャでプレイしていたDFセルヒオ・ラモス。現在は来季の所属チームを模索中の彼だが、先頃スペイン紙「MUNDO DEPORTIVO」が、元同国代表のダビド・ビジャやアンドレス・イニエスタらがJリーグ入りを決めた例を引き合いに出し、ラモスの日本行きの可能性もあると伝えたことから、国内のサッカーファンをザワつかせたのだ。
海外のスーパースターを招き入れるには相応の資金が必要となり、それだけの余裕があるJクラブは、実績のあるヴィッセル神戸をはじめ、2~3候補に限られるが、現時点では具体的な進展が見られていないのだという。
「日本人プレイヤーとは比較にならない巨額の年俸と引き換えに、イニエスタやルーカス・ポドルスキなどのビッグネームは、突出したユニフォーム売上や観客動員数の増加をもたらすことは確か。ただし、ピッチ上での貢献はやや期待薄となっているのが現状です。その象徴的な出来事が昨夏に“脱イニエスタ”を図るや否や、ヴィッセル神戸がクラブ創設以来初のJリーグ優勝を達成したことでしょう。Jリーグはヨーロッパのトップリーグに比べてもプレースピードが速く、アジリティー(チームの状況を素早く察知、機敏に反応できる能力)が求められるリーグであり、30代の引退間近のプレイヤーにはあまり向かないスタイルと言えるでしょう。それだけにピッチ内での貢献を期待して大金を支払っても、最近では満足できる費用対効果を得られたケースは少なく、国内のフレッシュな“動ける若手”をスカウトしたほうがよっぽどチームの戦力アップにつながるのでは?との見方が強まっています」(スポーツライター)
もちろん、世界に名を馳せるレジェンドのプレイを国内のスタジアムで観られることの意義を指摘する声はある。しかし、現時点では、ラモスは日本よりもアメリカやサウジアラビアリーグへの参戦を考慮しているとも報じられている。過去にはジーコやパトリック・エムボマ、エメルソンなど、Jリーグを大いに盛り上げてきた助っ人外国人だが、今後はそうしたスターを迎え入れるという動きは少しずつ弱まっていくのかもしれない。
(木村慎吾)