かつて存在したジャニーズ合宿所では、心霊体験をしたアイドルが多くいた。しかし、SMAP・木村拓哉の場合は、そんなレベルではないひと味違う体験をしている。およそ20年前、主演作の撮影現場で、幽霊と対面しているのだ。映画専門雑誌の編集者は、こう教えてくれる。
「1994年ごろ『伊豆の踊子』の撮影で旅館に連泊していたとき、見ちゃったそうです。木村はひとり部屋に泊まっていたのですが、“タタタタッ”とあきらかに誰かが周りを走り回る音がしたそうです。音が止まると今度は、彼の布団の周り、畳の上を走る音になり、おそろおそる目を開いても、誰もいない。ふと窓を見ると、イガ栗頭で着物を着た男の子が立っていたそうです」
宿泊していた部屋は、2階。窓の下は、川が流れているだけ。恐怖に耐えながらなんとかがんばって就寝して翌朝、「おはようございます」と現場へ入ると、木村を見た照明担当の男性が歩み寄ってきた。
「拓哉くん、昨日、何かあったかもしれへんけど、これ。とりあえずお清めの塩やから。これ舐めてから、収録しよう」
と言われたという。
さらに男性から、「何かあったでしょ?」と問われた木村は、前夜の出来事を話した。すると、静かにうなずいた男性は、驚きの言葉を発した。「うん。さっきからずっといるもん」。
『伊豆の踊子』は、青年が踊り子の女性と恋に落ち、悲しい別れを迎える物語。あのイガ栗頭の着物の子が、作中の青年だったのか‥‥。謎はいまだにヴェールに包まれたまま。ひとつだけいえるのは、およそ30年のタレント生活で、木村はこれを超える恐怖体験をしていないということだ。
(北村ともこ)