8月23日放送の「笑うマトリョーシカ」(TBS系)第9話で、穏やかな海を見ながら日傘の下で淡々と自身の過去を語った清家浩子を演じる高岡早紀に称賛の声があがっている。
この日の放送で浩子(高岡)は、中国人の母と日本人の父との間に生まれた自分は「望まれて生まれた子ではない」と道上(水川あさみ)に語り始め、主体性がないと感じた和田島(加藤雅也)の母親が亡くなったことを知って近づき、和田島をコントロールするようになったことも明かした。
さらには日本人としての苗字がほしかったために清家嘉和(梨本謙次郎)と結婚。嘉和が車にひかれて亡くなったことは「あれは事故だった」と言うものの和田島に電話で泣きついたことを明かし、和田島がやったとも、やっていないとも証明することができないと言い、道上と視聴者をゾクッとさせた。
中でも中国人の母が男に溺れる生き方をしたことに対し「でも私は母と違って、男に溺れない生き方を選んだの。若い頃から、男たちが勝手に私に夢中になることに気がついていたわ。みんなおかしくなるの。でも私は絶対に溺れない。他人だけじゃなく、自分自身もすべてコントロールする。そう誓って、教養を身につけたわ」と穏やかな愛媛県・外泊の海を見ながら日傘の下で淡々と語る浩子の説得力には参った。
「男たちが勝手に私に夢中になる」だけでなく「みんなおかしくなる」というセリフは、高岡だからこそ視聴者は納得できたと思う。高岡演じる浩子という「魔性の女」なら、自分で手を下さなくとも男が勝手に動いてくれるのだ。たとえそれが殺人であっても。
家々を守っている外泊の石垣が、浩子を守っている男たちのように見え、「生まれ変われるものなら魔性の女になりたい」と強く思った。
(森山いま)