11月20日放送の「ひるおび」(TBS系)では、元日本代表FWで解説者・福田正博氏がサッカー中国代表による前代未聞の“策略”について取り上げている。
「とにかく狭かった」。これが11月19日に行われたW杯アジア最終予選第6戦で中国代表との一戦を終えた日本代表MF久保建英の開口一番のコメントである。
実際、アウェーの地(アモイ)で行われたこの試合では、国際サッカー連盟・FIFAが推奨するピッチ幅である68mから、両サイドを1.5mほど狭め、全体としては幅65mほどのサイズにした可能性が高く、タッチラインを消したような“痕跡”も映像で確認された。
試合は、前半に2ゴール、後半に追加点を決めた日本が1-3で無事に勝利を収めたが、終了後のインタビューで久保は「とにかく狭かったですね。テレビで見ているより相当狭くて、相手もスライドを意識して、広いピッチでもスライドの力でここ何試合かはカウンターでも点を取ってきている」と、中国代表の戦術にハマるようなサイズ感だったと話し、「ちょっとびっくりしました」とも語っていた。
福田氏もこの“仰天奇策”について「狭くすることで、中国にとっては守りやすく、日本は攻めにくくなった」と分析。また、通常時のピッチラインの跡がはっきりと残っていた粗雑さには「せめて消しておいてほしかった」と苦笑いで指摘し、「これは憶測ですが、現場の指示だったのではないかと思いますね。まぁヨーロッパでは、強いチームをホームに迎えた時は芝生に水をまいたり、芝を長めにしておくということはあります。ただ、ピッチの幅を狭くするというのは聞いたことがないですね」と前代未聞だと驚いている。
「“アジアの洗礼”ともいうべきギリギリの戦術ではあるものの、重要なのは“ルール違反ではない”ということ。つまり、世界中のどんな規格のスタジアムだろうが、ルール範囲内のサイズであれば、サッカーで決着をつければ良い話です。一方で、日本のサポーターが問題視しているのはピッチ幅の工作よりもむしろ『リアル少林サッカー』とヤユされることが多い危険なラフプレーの数々で、これは選手のケガにもつながるため、『主審がしっかりとコントロールしてほしかった』『ピッチサイズより暴力に近いファールをなんとかしてよ』との声が見られました。とはいえ、そうした苦難や国歌斉唱時のブーイング、さらには日本人選手へのレーザーポインターなどを乗り越え、最終的に勝利したのは日本ですからね。そのあたりは果敢に立ち向かったサムライブルーが称賛されてしかるべきでしょう」(スポーツライター)
代表チームは月に1度の招集のみで、普段は中国の選手たちも各クラブチームで“通常サイズ”のスタジアムでプレーしている。もしかすると、彼らにとっても一般的ではないピッチ幅での戦いには、むしろ苦戦させられたところもあるのではないだろうか。
(木村慎吾)