ナチス風敬礼が物議!「うんざりだ」マスク氏の弁明が支持されないワケ

 ドナルド・トランプ大統領の就任イベントが1月20日、アメリカのワシントンで開催され、実業家イーロン・マスク氏が見せたジェスチャーが大きな波紋を呼んでいる。

 第2次トランプ政権で要職を担うマスク氏は、雄叫びを上げながらの情熱的なスピーチで会場の注目をさらい、最後に右手を左胸に押し当てたあと、腕を真っ直ぐに力強く伸ばすポーズをとった。

 会場から大歓声が巻き起こったが、すぐにこのポーズが「ナチス式敬礼ではないか?」と物議を醸す。ナチス式敬礼は第二次大戦中、ユダヤ人を大量虐殺したナチス・ドイツで、指導者アドルフ・ヒトラーへの忠誠心を示すために使われていたものであり、戦後はドイツをはじめ複数のヨーロッパの国で禁止されている。

 ドイツのショルツ首相は、この騒動について聞かれ「ドイツでは表現の自由があるが、極右的立場を擁護するというのは決して受け入れられない」と怒りの反応を示している。

「マスク氏がとったポーズは『ナチス式ではなくローマ式敬礼』と擁護する声もありますが、そもそもローマ式敬礼はイタリアの独裁者ムッソリーニ率いるファシスト党が広く使用し、それに倣ってヒトラーが始めたのがナチス式敬礼とされています。マスク氏が見せた、右手で左胸を叩いたあとに手のひらを下にして斜め上げる動きは、たしかにナチス式敬礼に酷似している。マスク氏は『もっとうまい批判のやり方があるだろう。“みんなヒトラーだ”という攻撃にはうんざりだ』とXで弁明しているが、なぜわざわざこんな紛らわしいジェスチャーをしたのか。本人はそのつもりがなくても、多くのネオナチや極右団体を喜ばせています」(メディアライター)

 マスク氏は昨年1月22日、ポーランドのアウシュビッツ収容所を訪問。これまでの自身の反ユダヤ主義的コメントについて「私が愚かだったのは確かだ。正直に言って考えが甘かったところがある」などと反省の意思を見せていたのだが…。

 第2次トランプ政権は予想通り大波乱の幕開けとなった。

(木村慎吾)

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