Q:4歳と2歳になる息子と、生後5カ月の娘がいます。悩みの種は長男。弟を押して倒したり、つねったり、髪を引っ張いたりとちょっかいを出しては泣かせます。それだけでなく、長男本人も些細なことですぐに大泣きします。弟はけっこう我慢強い性格ですが、お兄ちゃんは泣き虫の癖に年下をいじめるような嫌な性格が気になります。そんな長男を見ていると怒りがわいてきて、ほっぺをつねったり頭を叩きながら「泣き虫は嫌いだ」とか「そんな泣き虫は、ママいらない!」と怒鳴ってしまいます。もちろん謝ってきたら許しますし、抱きしめてもあげますが、毎日こんなことの繰り返し。 長男の性格の悪さが心配です。
A:初めて生まれたお子さんには、母親を独占していた記憶があります。それなのにこの長男は、2歳の時に弟に母親を奪われ、そして今はまた妹に奪われてしまったという状況なのです。そんな寂しさから、小さな赤ちゃんの妹にではなく、弟に向けて自分のストレスを吐き出しているのでしょう。
寂しい気持ちをうまく大人に伝えることができなくて、ぐずる長男に「嫌い」「いらない」という言葉は、暴言以外のなにものでもありません。まして、首から上を攻撃するのは、厳に慎んでください。つねったりするのは、母親にされた仕返しを、弟に向けているのだと思います。このままの状態が続くと、親の目の届かないところで、弟をもっといじめるようになってしまう可能性も考えられます。
手のかかる子供を3人も育てるのは大変です。疲れも溜まっていて、子供の世話だけで一日が終わってしまう、なんてことも多いでしょう。3人の子どもを育てているお母さんなら、育児、家事を完璧にこなすなんて、とてもじゃないけどできない、と思うこともあるのではないでしょうか。
もちろん、できなくて当たり前です。何事も完璧にこなす必要はありません。長男のことが嫌になるのは、どこか自分に余裕がなくなってきているからかもしれませんね。それでも、現在の長男との関係性は改善しなくてはなりません。
たとえば、弟が抱っこを要求した時、長男も呼んで2人一緒にハグをする。もしも同時に「抱っこ」を要求してきたら、まずは長男から抱いてあげる。長男を優先して「次は弟ね」と声を掛けてあげるなどを心掛けてみてください。お母さんも疲れているでしょうから、自身の時間を作って思いっきり羽を伸ばすこともおすすめしますが、一度、長男と2人きりで、デートをしてみてはどうでしょうか。
たとえば、幼児向けの映画に2人だけで行って、一緒に食事をする。そこで、「ママひどく怒ってごめんね」と謝りましょう。そして、ゆっくりと長男の話を聞いてあげてください。
そのあとは、弟や妹には自分でできないことがたくさんあること。だからこそ守ってあげなければならないことを説明して「弟と妹の世話を手伝ってほしい」「ママを助けてほしい」とお願いしてみましょう。ママを独占できている楽しい時間の中でなら、お互いに素直になれるはずです。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)