これからいよいよ「“顔”が、あなたの“健康”を作る」 という「顔の超能力」世界への旅立ちです。
■不思議な事実
“心と体”の深い結びつきは、医学、心理学、脳科学などの分野で詳しく証明されています。たとえば「プラシーボ効果」、いわゆる「ニセ薬効果」です。何の効果もない(無害の)ただの白い粉を見せられ、「これを飲めばあなたの病気は絶対に良くなる」と言われ、それを信じて粉を飲むと実際に病気がよくなるケースがあります。また、その粉を「乗り物酔いに対して抜群の効果があるんだよ」と言って飲ませると、本当に酔い止め効果がみられたりする。ノンアルコールビールを本物のビールだと思って飲んで酔ってしまう人もいれば、「(触れるとかぶれる)漆(うるし)の木だ、気をつけて!!」と言われ、漆ではない木でアレルギー症状を起こす人がいます。私たちは“心”の持ち方しだいで“体”が本当に“そうなる”のです。
逆に、「ノーシーボ効果」というのもあります。「本物の薬を『効果がない』と思い込んで服用すると、本当に効果がなくなる」「具合が悪くなると信じれば、本当に具合が悪くなる」といった事例です。極端な例では、「あなたはガンです」と言われ、誤診だったにもかかわらず本当にガンの症状が現れたりすることがあるそうです。
■“心と体”の深い結びつきを実証する臨床例
生まれ変わり現象の研究などで知られる米精神科医のイアン・スティーブンソン氏(1918~2007)の著書「生まれ変わりの刻印」(笠原敏雄訳、春秋社)には、治療の必要から両腕を後ろ手に縛られた9年前のことを思い出した患者の腕に幾筋もの縄目の跡がくっきりと出現した写真が掲載されています。「9年前の出来事であるにもかかわらず、(心が)思い出すと同時に、その時のロープのものと完全に一致する微細な模様が(体に)浮かびあがってきた」のです。
もう一例、彫り物が施されたステッキで腕を強く叩かれた経験を持つある患者は、それによってできた傷が完全に治ってからも叩かれた時のことを思い出すたびに「その彫り物と同じ模様が、たたかれた腕の同じ場所に現れた」(同著より)。
以上、心と体はピッタリ重なり合う、合同、すなわち『心≡体』であり、繰り返し影響し合いながら、お互いをより良い状態(健康)にコントロールしていくという事実を再確認しました。最後に、とてもわかりやすい「スポーツの実例」です。
■スポーツ界の“晴顔”の常識”
スポーツの世界では、“晴顔”で競技に臨むことは、今や「常識中の大常識」です。“晴顔”で“楽しい”“うれしい”などの“心”を作って競技に臨むと、今度は、その心が体を絶好調にもっていってくれるのです。
特に「採点型」競技、たとえばフィギュアスケートや体操などのスポーツでは、“晴顔”が心と体をベストコンディションに作り上げてくれ、同時に“晴顔”自体が採点者に好印象を与えるため、高得点を得る絶対条件です。
「レース型」(100メートル走や水泳など)のスポーツや「対戦型」(サッカー、テニス、柔道など)、そして「挑戦型」(ハイジャンプや重量挙げなど)のスポーツでは、あまりニヤニヤしていると力が抜けてきそうですが、選手は少なくとも、「“晴顔”、つまり、チャレンジ顔やキボウ(希望)顔などで前向きな“心”を作り続ける」ことが大切だとされています。
そのようにして“晴顔”で“心”を絶好調にもっていき、その状態を“体”に反映させて、競技中のコンディションを最高のレベルにもっていくのです(競技中はこのサイクルを繰り返す)。
今や勝利者インタビューでは「楽しんで、できました」という言葉が、満面の“えがお”とともに、必ず出てくるようになりました。そうです、「“晴顔”は勝利をもたらす」のです。このシステムは、人生全般に応用できます。
次回は、目や口などの顔の造作の持つ“顔パワー”のトリセツをご紹介します。
●プロフィール
なかむら・かつひろ1951年山口県岩国市生まれ。早稲田大学卒業後にNHK入局。「サンデースポーツ」「歴史誕生」「報道」「オリンピック」等のキャスターを務め、1996年から「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)ほか、テレビ東京などでワイドショーを担当。日本作家クラブ会員。著書に「生き方はスポーツマインド」(角川書店)、「山田久志 優しさの配球、強さの制球」(海拓舎)、「逆境をチャンスにする発想と技術」(プレジデント社)、「言葉力による逆発想のススメ」(大学研究双書)などがある。講演 「“顔”とアナウンサー」「アナウンサーのストップ・ウォッチ“歴史館”」「ウィンウィン“説得術”」