Q:もうすぐ3歳になる息子に対する夫の態度に悩んでいます。朝、夫が息子に「新聞を持ってきて」と言いました。以前なら嬉々として走って持ってきてくれるのに、その日はなぜか「イヤ」と一言。夫はもう一度「持ってきて」と言いましたが、息子は拒否。すると夫もムキになって「持ってこい」「イヤ」の押し問答になりました。見かねて私が取りに行こうとすると「よけいなことをするな! 必ず取りに行かせる」と、引きません。最終的には息子が泣きながら取りに行きました。私は、こんな些細なことで朝から泣かせるなんて…と納得がいきません。私が甘すぎるのでしょうか?
A:このお父さんは、躾(しつけ)と父親の威厳を守る、ということを混同しているようです。なぜ子供が「イヤ」と言ったのか、その理由を聞くこともなく怒るのは、大人気ない態度です。自分のなかにある“父親はこうあるべきだ”というような思い込みがあるのかもしれません。
もうひとつの問題は、お母さんです。自分の考えを“甘すぎる”と思う必要はありません。夫と同じ考えに従うのではなく、お母さんはお母さんの考え方で息子に接すればいいのです。
問題は子供と違い、夫の考え方を急に改めてもらうのは、難しいですよね。この場合、夫と息子が押し問答を始める前に、お母さんが「どうして今朝は行きたくないの?」と、息子に理由を聞いてあげるのがベストです。
もし、息子が上手に理由を説明できなくて「イヤ」を繰り返し、泣くようなら、お母さんと一緒に新聞を取りに行きましょう。
そのあと、息子さんが泣きやんで落ち着いたら、もう一度夫のいないところで理由を聞いてください。このとき、あせらずに子供が話し始めるまで待ってあげてください。その日に限ってなんとなくお腹が痛かった、まだ布団の中にいたかった、父親から命令口調で言われるのがイヤだったなど、何か理由があったはずです。
また、以前は新聞を持ってきてもらった父親が「ありがとう、よくできたね」と褒めていたのに、日常化することによって何も言わなくなったのかもしれません。そのことに不満を感じていて、父親の命令に従わなくなった可能性も考えられます。
子供にとって不快なこと、嫌なことに対して「NO」と言うのは、自我が発達したことを示す行動につながります。ただ、幼い子にとって反抗心を伝える手段は、「イヤ」と“泣く”なのです。そして、この場合の反抗は大切な成長のしるしでもあります。
お母さんは息子が新聞を取りに行かなかった理由がわかったら、そのことを夫に話しましょう。そのうえで、こういう行動を取れるようになるほど、息子は成長したのだと教えてあげてください。夫も父親として成長してもらわなくてはいけません。子供だけでなく、親もともに学んで親になっていく、という気持ちを忘れずに過ごしたいものです。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)