【しあわせな結婚】野呂佳代はもはや「面白そうなドラマのムードを作る職人女優」という新ポジを確立!
野呂佳代がスゴイことになっている。
何がスゴイのかと言えば、「このドラマって面白そうだよね?」というムードを確実に作れる女優へと成長したからだ。
AKB48からSDN48へと移籍し、その後2013年に卒業。くすぶりながらも2017年6月から、当時はまだテレビ東京の局アナだった松丸由紀の産休による代理アシスタントMCとして「ゴッドタン」(テレビ東京系)で爪痕を残したことから準レギュラーに。芸人たちから「演技がしたい?ホンキで言ってるんの?」などと鼻で笑われていた時代を経て、「野呂佳代が出るドラマは面白い」と言われるようになり、小池栄子からは「野呂ちゃんガンバレ!」とエールを送られていたが、今やもう「女優・野呂佳代」は、面白そうなドラマのムードを作る「職人女優」になったと言えるだろう。
7月17日にスタートした阿部サダヲ主演ドラマ「しあわせな結婚」(テレビ朝日系)では、初回冒頭で人気弁護士・原田幸太郎(阿部)の弁護士事務所を訪ね、夫の浮気を相談する妻を好演。浮気した夫の声を聞くことさえ「不愉快なんだけど」とプリプリ怒りながらも、幸太郎から離婚を勧められると、いきなり消沈して「独りになったら生きていけません…」としおらしい表情を見せる野呂を見ながら、このドラマの脚本家である大石静氏は、間違いなく「野呂佳代のことが好きだ」ということがよくわかった。
なぜなら、大石氏が脚本を書いた昨年放送のNHK大河ドラマ「光る君へ」でも、野呂は第1~2話に登場した町娘・ぬいを好演。セリフはなくとも百舌彦(本多力)と逢えるだけで嬉しいと思っていることが、画面を通じてダイレクトに伝わってくる、素晴らしい演技を見せてくれたからだ。
おそらく「しあわせな結婚」の冒頭シーンで、浮気を相談しに来る妻を野呂に演じてほしいと言ったのは、大石氏ではないかと思う。「光る君へ」第1話で視聴者のハートを鷲づかみにした野呂なら、「しあわせな結婚」の視聴者の気持ちも「つかんでくれる“はず”」と大石氏が思っていなければ、このキャスティングは成立していないのではないだろうか。
野呂はもう「しあわせな結婚」に登場することはないのだろうか。それだけが残念で仕方ない。
(森山いま)
