「こんにゃく」だった羽生も、今やフィギュア界の「絶対王者」「氷上のプリンス」の異名を取るまでに成長。そこに至るまでには、母・由美さんの献身的なサポートなくしてありえなかったとスケート関係者の誰もが口を揃える。その中でも有名な話が、2歳の頃からぜんそくを抱える羽生へのケアだ。羽生の地元・仙台のマスコミ関係者が振り返る。
「飲み薬だけでなく、吸入薬も常備しなければならないゆづくんにとって、海外遠征は心配事でした。飛行機だと、気圧の変化によってぜんそくの発作を起こしかねないからです。しかたなく、由美さんは自腹で同行していましたよ。聞けば、連盟に願い出ても『ドクターがいますから』のひと言で却下されるばかりだったそうです」
当時を知るスポーツ紙カメラマンも、同行する由美さんの献身ぶりを目撃していた。
「飛行機の中で発作に襲われないためなのか、お母さんが一晩中、背中を優しくさすっていましたね。リクライニングにして脚を抱えるように横向きに寝ている羽生くんが、時折親指を噛むような苦しい表情を浮かべることもありました」
母子の仲むつまじさは、意外な場所でも目撃されていた。16年5月に公開された映画「殿、利息でござる!」(松竹)で、羽生がスクリーンデビューしたときのことだった。
映画関係者が話す。
「撮影は15年7月、山形県鶴岡市で行われました。当日まで共演者にも明かさられないサプライズ出演だったので、現場は盛り上がりましたね。演技も度胸満点で、NGは数回でした。そういえば、ずっとお母さんがつきっきりで、まるで未成年の子役のようでしたよ(笑)」
映画で共演したきたろうも、ラジオ番組「大竹まことのゴールデンラジオ」の中で、こんな感想を漏らしていたという。
「きたろうさんが、『お母さんが一緒に来るのね。まだ子供だから』と楽屋話をしたんです。すると、大竹さんが『えっ、もう20歳だろう』とツッコんでいましたね」(放送作家)
さらに直球キャラが売りのきたろうは、“あの疑惑”にも言及していたという。
「一般論として『フィギュア界って、同性愛者が多いんじゃないの?』と羽生くんに聞いたそうです。すると彼は『意外と多い』と答えたそうで、きたろうさんが『じゃ、君はそうなの?』ってツッコむと、『僕は違います』と完全否定したそうです。お母さんは隣で笑っていましたね」(前出・映画関係者)
師匠のオーサーコーチを筆頭に、振付師のジェフリー・バトルも、衣装をデザインするジョニー・ウィアーも“カミングアウト”しているだけに、疑心暗鬼となっていた一部のファンもひと安心といったところか。