子どもには、せっかくならば学校生活を楽しんで大活躍して欲しい。けれども、授業参観に行けば小さくなって、黙ってるばかり…。こんな様子では、毎日ちゃんと学んでいるのかしら、と心配になってしまいますよね。そこで、教育現場でお母さんからいただくご相談のうち、「家ではおしゃべりなのに、学校では話しません」についてお答えします。
■まずは理由から
家ではきょうだいと騒ぎ回っているし、ママには今日あった出来事をマシンガントークで報告。それなのに、学校では急にか細い声になり、手を自分からあげるなんてもっての外。発表する番になると縮こまり、ほとんど誰も聞こえないような小さな声でなんとか話す程度…。という子、意外と多いです。
声が出せない理由は、その子によって異なります。言いたいことがあるのに、その内容に自信がない子もいれば、お友達に声を聞かれるのが恥ずかしいという子も。まずは、どんな思いで学校生活を過ごしているのかに耳を傾けてあげましょう。子どもの学校での生きにくさがみつかった場合は、その部分をサポートしてあげることで、勇気をもって発表に挑戦できるようになるケースも多いです。
■ここぞという時に話すことができるようになったAちゃんの例
Aちゃんという小学校1年生の女の子は、集団授業の場でほとんど声を出しませんでした。授業中、近くの友だちと話すこともほとんどありません。けれども作文は大好きで、自分の想いや考えをいつも楽しそうに綴っていました。
「○○を説明できる人?」などと全員に質問をして挙手を促す場面では、Aちゃんが手をあげることはありません。しかし、Aちゃんはしっかり自分の考えをもっている。そこで、Aちゃんが作文に書いた話題を中心に、直接「Aちゃんはどう思う?」とあててみることにしました。最初は恥ずかしそうにしていたAちゃんですが、自分の考えをゆっくりていねいに話し始めたのです。それからは、子どもたちもAちゃんに話しかけるようになり、発表の場面では立って堂々とできるようになりました。
こんなふうに、何かのきっかけで自然と皆の前で話せるようになる子もいます。また、ずっと小さい声で発表していたけれど、ある日勇気を出して大きな声で話してみて、友だちから聞きやすかったと褒められたことで、堂々と発表できるようになった子もいます。たまたまきっかけがなく話していないのか、話すこと自体が恥ずかしいのか、それによってもアプローチは変わってきます。ぜひ子どもの意見に耳を傾け、大人たちが話す環境を用意することで、自信をつけさせてあげてください。
(Nao Kiyota)