5月19日(日本時間未明)に開催された第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で、是枝裕和監督の「万引き家族」(6月8日公開)が最高賞のパルムドールに輝いた。日本人映画では、1997年に受賞した今村昌平作品の「うなぎ」以来21年ぶりの快挙だ。
同作品は、年金と万引きを頼りに生活する一家を中心に、親子の絆とは何かを問いかけるストーリー。是枝監督の受賞を受けて、21日放送の情報番組「ビビット」(TBS系)では、同作品を特集。その中で、是枝監督の映画づくりへの“こだわり”を紹介した。
「それは子役に台本を渡さない、ということでした。是枝監督が現場に入ってから、セリフを口伝えなどで教えているそうです。また、ときには役者にも演出の一部を担ってもらい、子役から自然とアドリブで感情や表情が出るよう、うまくリードしてもらっているといいます。今回の作品でも、監督が伝えていなかったアドリブを子役が演じ、共演者のリリー・フランキーも驚いていたようです」(映画誌ライター)
是枝監督のこだわりはこれだけではない。
「08年に公開された映画『歩いても 歩いても』での製作発表会見では、是枝監督は日常の言葉にこだわり、セリフはすべて3行以下にして脚本をつくったといいます。また、映画専門サイトのインタビューで、是枝監督は演出哲学に関して『ルールがないのが私だけのルールだ』と語っています。たとえば、晴れた日のシーンの撮影日に雨が降れば、雨が降るシーンに設定を変えるとか。突然降り始めた雨を、どうすれば映画にうまく収めることができるか、ということを現場でひねり出すタイプの監督のようです」(前出・映画誌ライター)
映画の公開日が待ち遠しい。
(石田英明)