俳優の東山紀之が、2019年元日に放送される時代劇「大岡越前スペシャル~親子をつなぐ名裁き~」(NHK BS4K)で、主人公の町奉行・大岡越前守忠相を演じる。
「東山は、BSプレミアムで2013年3月から翌年1月にかけて9回に渡って放送された『大岡越前』に主演して以来、ほぼ毎年同ドラマで大岡越前を演じています。いわば東山にとってはライフワークになりつつある作品ですね」(テレビ誌ライター)
2018年は、30年にわたり放送された「大岡越前」(TBS系)で主役を演じてきた俳優・加藤剛が6月に他界し、また東山版「大岡越前」で忠相の父親役を演じた俳優・津川雅彦も8月に亡くなったことから、東山は「お二人の想いを受け、遺された者の使命としてお話を頂いている限りはやらせていただこうと決意しました」と覚悟のほどを語っている。
東山が、大岡越前に強い思い入れを感じるのは他にも訳があるという。
「『大岡越前』は弱きを助ける名裁きで親しまれてきた国民的なドラマ。同シリーズで、この役を東山が演じるのは、彼が幼少期に暮らした環境が大きく関わっているのかもしれません」(女性誌デスク)
東山が、雑誌「週刊朝日」に連載して2010年に書籍化された自叙伝「カワサキ・キッド」(朝日新聞出版社)には、神奈川県川崎市で育った頃の極貧の少年時代が赤裸々につづられている。
「両親の離婚で母と妹とコリアンタウンの一角にあった狭いアパートに住んでいたこと。空腹の東山と妹を救ってくれたのが近所で焼肉屋を営む母子だったことも告白しています」(前出・女性誌デスク)
本書では当時について「僕と妹が毎日、お宅に上がり込むとおばちゃんはいつも店の豚足を食べさせてくれる。(中略)貧しくてお腹をすかせた僕たちは、あの頃、あの方々がいなかったら、どうなっていただろうと思う」と語っている。
「東山が大岡越前を演じ続けるのも、その頃に想いを馳せ、“強きを挫き弱きを助ける”大岡裁きの精神が、彼の心と通じるところがあるからでしょうね」(エンタメ誌ライター)
新年早々、東山の“大岡裁き”に注目したい。
(窪田史朗)