シアトル・マリナーズに所属するイチローが3月21日の23時56分より、異例の“深夜引退会見”に出席するも、日本テレビを始め、多くの地上波放送局がその様子をフルで中継できずに終わる事態となった。
日本を代表する球界のカリスマであり、メジャーリーグにおいても数々の栄光と記録を樹立してきたイチローの引退会見ともあり、野球ファンだけに留まらず、多くの人々の関心が集まることが予想されたが、報道番組「news zero」の放送を同日23時57分に終えた日本テレビはわずか1分でイチローの引退会見を強制終了。テレビ朝日は「アメトーーク!」で「ケイスケホンダ芸人」を放送していた為、同会見の冒頭に間に合わず、TBSもまた23時55分に「NEWS23」放送が終了し、56分に開始した“世紀の引退会見”の中継に遅れを取ることに。
そうした状況の中、フジテレビは23時45分に放送を開始した「FNNプライムニュース α」でスムーズなイチローの引退会見を中継し、2分間の遅れがありながらも、テレビ東京も23時58分開始の「追跡LIVE!SPORTSウォッチャー」でなんとか偉大なレジェンドの会見を追うことが叶っている。
「もちろんすべての視聴者が野球ファンという訳でもないですし、突然開催された引退会見を完璧にフルで中継することは困難でしょうが、やはりメジャーでの長年の功績や、日本のスポーツ史を彩ったヒーローの引退会見だっただけに、その瞬間を見ることができなかった視聴者からは悲鳴も聞こえます。『テレビの限界を見たような気がした』『(バラエティー番組を)ずらしてでもきちんと放送すべきだった』『偉大な功績を残してくれた人なのに扱いが酷くでびっくり』『腹立ってすぐにテレビ消した』との失望や怒りの声が続出し、テレビ局の放送スケジュールを変更するほどに重要な会見だったという声も。一方で、いちスポーツ選手の引退会見に対して、『大災害や大事件、国民の生活の為に急を要するなら分かるが、そこまでの事ではない』との指摘や、『なぜテレビ局に文句を言う?』『番組延長は単純な独断ではできない』という理解もあります」(テレビ誌ライター)
野球界のレジェンドが引退を表明している最中、テレビ朝日は「アメトーーク!」でサッカー界の英雄・本田圭佑の特集を組んでいたことは皮肉な偶然となったが、あらかじめ決定された編成を変更するという選択には至らなかったようだ。
今回の事態を受け、融通の利かない地上波テレビ放送からの離脱がますます加速する可能性もあるかもしれない?
(木村慎吾)