“ラジオでの取っ組み合い”という品川庄司の悪しき過ちを踏襲してしまったのが、同じ吉本の後輩であるオリエンタルラジオの中田敦彦と藤森慎吾だ。芸人としてはセミプロにあたる養成所時代から全国放送のゴールデン番組でMCを任されていた“奇跡のコンビ”オリラジだが、キャリアの浅さによる青二才ぶりが2007年放送のオールナイトニッポンでのラジオで露呈されてしまった。
人気アニメ「エヴァンゲリオン」に関する知識の差に関して、中田が藤森を何度も挑発したことで次第に険悪な空気感を帯びると、互いに罵声を浴びせて一気に掴み合いに発展。慌てたディレクターが急遽CMを挟み、数分間にわたって放送を中断させたほどだ。高まるテンションを抑え、その後は放送を再開させた2人だが、“死ぬほど仲の悪かった10年間”をファンや後輩にすら感じさせなかったダウンタウンのプロ根性とは相反する振る舞いだったと言える。
もちろん血気盛んな若手芸人だけが相方の存在を煙たがっているわけではない。
ダウンタウンと並ぶ人気と実力を誇り、長年にわたって日本のバラエティ隆盛を支えてきたとんねるずの石橋貴明と木梨憲武は、名物番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジテレビ系)の放送終了と共に突如としてコンビ間の不仲を囁かれるようになった。
発端としては、あくまで笑いの道を突き進み、今後もバラエティ番組の盛り上げに貢献していきたいと考える石橋と、絵画やアートの世界に傾倒しつつある木梨の間にある温度差が挙げられるが、それが形となって現れてしまったのが、昨年11月に放送された「みなおか」の人気企画「細かすぎて伝わらないモノマネ」のスピンオフ特番でのことだ。
同年3月に放送を終了したはずの「みなおか」がわずか数カ月でスピンオフ特番を放送することに違和感を覚えた木梨はこの収録に参加せず、同じく同コーナーの常連だった関根勤もこれに同調。結果的に、とんねるずによる花形番組が一夜限りで復活したにも関わらず、出演したのは石橋貴明と他ゲストのみとなり、多くのファンを悲しませたことは言うまでもない。
バラエティ番組の在り方や笑いに対する考え方に相違があると囁かれる石橋と木梨だが、現在、かつての人気音楽ユニット「野猿」のコンサートを開催することを企画中とも報じられており、ファンからすれば“死ぬほどの不仲”でないことをただただ祈るばかりだ。
観衆の“笑い”を取り、お茶の間を和ませることを本分とするお笑いコンビだが、衣装を脱いだ途端に他人行儀だとすれば、どこか切ない気もしてしまう。
親しき仲にも礼儀ありをモットーに、コンビとして、そして戦友としてプライベートでも最低限の良好な関係性を望んでしまうのはファンのワガママだろうか…?
(木村慎吾)