何でもそろう現代だからこそ、子どもには将来自分にしか生み出せない価値を創造できる人になって欲しい──そう思うのなら、今あるものやサービスを消費すること以外に、次のような経験をさせたいものです。
■友だちとの喧嘩や思い通りにならない経験
子ども時代はわがままを通せば何とかなることも、社会に出てからはそうはいきません。また、新しいものを創造するには、家族やチームメンバーの助けが必要なこともあるでしょう。全員の思い通りにはならない状況で、お互いに折り合いをつけてそれぞれが幸せになるための道を選ぶ経験は、時に傷つくことがあっても、大いに経験して欲しいことです。本当に信頼される人は、人の痛みが分かる人です。
■自分で決めたことを最後までやり抜く経験
「やってみたらできた!」という成功体験は、“やればできるはず”という自信に繋がります。大人になっても「その分野は苦手なので、私にはできないと思います」などと言っている人は、スタートラインにも立てません。「達成(成功)するにはどうしたらいいか?」と考え、頭や体を働かせる人になるには、「きっとできる」という勇気が必要です。
そのためには、どんなに小さなことでも、どんなに時間がかかっても、最後は「やれた!」と思える子ども時代を過ごさせてあげましょう。例えば、困難に身を置かせる、自分自身で成功させるまで忍耐強く見守る、危険があれば助ける、最後は「やったね。自分でできたね!」と褒めて終えるなど、親としてできるサポートはいくらでもしたいものです。
■便利なものが何もない、大自然での経験
お金さえあれば何でも手に入るという状態は、何かを生み出す変動力にはなりにくいもの。子ども時代に、あえてゲームやテクノロジーから離れ、大自然の中で生き抜く経験をさせることは大きな価値のあることです。お金や便利さがなくても、自分で生活に必要なものを調達し、食べ、過ごし、遊びまで生み出すことができると実感できれば、たとえ人生のピンチが訪れたとしても、自分の幸せに向かって強く進んでいくことができます。
時間の取れる夏休みは、これらのことを実践するチャンスです。ぜひ、子どもと一緒に取り組んでみてくださいね。
(Nao Kiyota)