木村拓哉が来年1月8日にリリースするアルバム「Go with the Flow」の豪華な作家陣が話題になっている。その顔ぶれは稲葉浩志を筆頭に森山直太朗や槇原敬之、水野良樹(いきものがかり)、川上洋平( [ALEXANDROS])、LOVE PSYCHEDELICO、Uruといったビッグネームばかり。しかも小山田圭吾(コーネリアス)がオープニングテーマを提供するという超豪華ラインアップだ。
そんな木村の新作には「お膳立て感しかない」といった否定的な意見が出るかたわら、楽曲提供アーティストのファンからも作品の出来を懸念する声が続出しているという。とは言え楽曲自体の出来は問題ないはずだが、音楽ファンは何を懸念しているのか。音楽ライターが耳打ちする。
「SMAP時代から木村の歌に関しては、何を演じてもキムタクならぬ《何を歌ってもキムタク》と揶揄されてきました。本来であれば、ボーカリストとしてむしろ歓迎すべき唯一無二の声ということになりますが、やや鼻につく“オレ様感”は、提供された楽曲を歌う際に生まれるべきケミストリーを望めないのではというもの。豪華作家陣の楽曲の魅力が台無しになってしまうのではとファンは懸念しているのです。SMAPの名曲『世界で一つだけの花』にしてもSMAP全員で歌うから魅力あふれる曲になるのであって、木村がソロで歌ったら、Koki,がモデルを目指す際に送った至言『やるならナンバーワンを目指すこと』を地で行く『キムタクだけの花』になりかねないというものです」
そんな木村の〈オレ様唱法〉が存分に発揮された場面が、14年2月24日放送の「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)で見られたという。その回にはお笑いコンビのどぶろっくが出演。先日の『キングオブコント2019』に優勝したことであらためて注目を集めた彼らがSMAPとコラボし、『新・もしかしてだけど』を披露していた。その回について前出の音楽ライターが振り返る。
「どぶろっくの歌は、周りにいる女性はすべて自分に気があるのではと勘違いしている男性の心理を面白おかしく歌ったものですが、キムタクが歌うとなぜか《オレ様カッコいいだろ?》というテイストに変わってしまうのは致し方ないところかもしれません。たとえば前をノロノロ走る車についてのフレーズでは、キムタクが『♪俺が写っているバックミラーに釘付けなんじゃないの?』と艶っぽい表情で激唱。そこでもはや面白みは消え去り、キムタクのオレ様感しか伝わってこないんです。そして楽曲のラストで『もしかしてだけど それってオイラを誘ってるんじゃないの?』と合唱する場面では、キムタクがシャツをはだけて赤いタンクトップを見せつけながらウインク。これには視聴者も《キムタクの味が強すぎる!》とズッコケていましたね」
どぶろっくのコミックソングでさえ“オレ様ソング”に化してしまう歌唱力。その歌声で、稲葉や槇原らの楽曲がどのように“味付け”されるのか、楽しみにすべきなのかもしれない。
(白根麻子)