前項のEXIT含め、「お笑い第7世代」の台頭が目立った2019年の芸能界だが、こと実力の面で言えば、ワタナベエンターテインメントが誇る芸歴3年目のお笑いトリオ・四千頭身は他コンビとは一線を画すピカイチの異彩を放っている。
「“若手芸人”はとにかく大声でその存在をアピールし、司会者やMCと絡むことで世間からの認知を高めていくというやり方が一般的でしたが、どうやらその方法ももはやアナログなのかもしれません。四千頭身はボケの都築拓紀と石橋遼大のやり取りを、センターの後藤拓実が静かにマイペースで突っ込むというテンションのコントラストを武器とするトリオで、トーク番組のひな壇からもガヤで声を張って笑いを強引に狙いに訳でもなく、淡々と己のターンだけに集中するといったタイプです。昔はFUJIWARAのフジモンやアンタッチャブルのザキヤマのようなひな壇からの“ガヤ芸”が受けていましたが、最近は“うるさい”“場を乱しすぎ”といった世間からの苦言も聞こえ始め、他のタレントが喋っている時間を妨害してまで前に出るという若手芸人特有の“死に物狂いな姿勢”は一般的ではなくなってしまったのかもしれません。良くも悪くも、これからの若手芸人は“他人に迷惑をかけず、また、傷付けることもしない”というスタンスを保ちつつ、その上で笑いを取りに行かなければならないのでしょう」(テレビ誌ライター)
そういった観点において、四千頭身の背伸びをしない姿勢は新たなお笑いの潮流に乗る“最新型の笑い”ということになる。とりわけ、まるでボヤくように話すセンターの後藤は声の音量こそ低いが、芯を捉えた発言が多く、自分に回ってきたターンを着実に逃さずしっかりと笑いを生んでいる印象だ。
(木村慎吾)