男性の育休取得の「必須化」も叫ばれる昨今、小泉進次郎環境相が育休宣言をして話題になりました。育休は母親と同様、父親も取得する権利がありますが、実際にはどの程度の男性が積極的に育休を取得しているのでしょうか。
インテージ社が2019年9月、民間企業・公社・公的機関に勤務する、子どもと同居している20~59歳男性555人を対象に行った「男性の育児休暇取得」についての調査によると、実際に育休を「取得した」と答えた人は全体で7.9%にとどまり、年代別にみると20代が20.4%、30代が14.9%、40代が2.4%だったそう。
また、育休を取得した男性にその期間を尋ねた結果、最多回答は「1週間未満」(42.0%)で、これに「1週間程度」(15.1%)、2週間程度(13.4%)、3週間程度(5.1%)が続いたといいます。
さらに、育休を取得しなかった人に「育休を取得したかったか」を尋ねた結果、23.7%が「取得したかった(けれどできなかった)と回答し、取得できなかった理由として「周りに育休を取得している男性が(ほとんど)いないから」(52.7%)、「育休中の収入減が不安だったから」(40.3%)、「元の業務・ポジションに復帰できるか不安だったから」(19.9%)などの意見が多く挙げられたそうです。
男性の育休取得を推し進める動きがある一方で、“ただ育休を取得するだけではうまくいかない”という意見もあるようです。
コネヒト社が2019年10月、公益財団法人・日本財団と共同で行った「パパ・ママの育児への向き合い方と負担感や孤立感についての調査」(対象:子どもが1人以上いる「ママリ」ユーザー3,992名)の結果、育休中の父親の約3人に1人が1日の家事・育児「2時間以下」で、「育休を取得しない」もしくは「育休中の家事・育児時間が1日あたり2時間以下」の場合、母親の家事・育児役割分担納得度が低い結果となったそう。
「育休を取得してほしいと思わない」母親の意見としては、「自分のペースで子育てをしたいのとお給料の面で不安」「1人になりたいときもあるから、平日に1日とか休みを取ってくれたほうが嬉しい」「夫婦二人でキャリアを喪失する必要はないと思う」などが挙げられていました。
男性が子育てに参加することや母親の負担が軽減されることなど、さまざまなメリットがある男性の育休取得ですが、母親の負担や心理的状況を鑑みてよく話し合い、夫婦で役割分担をしなければ育休を取得しても満足度が得られない可能性もありそうです。経済面での痛手や復帰後のポジションについての不安など、課題もあるようです。
家庭にとっても社会にとってもプラスとなる男性の育休取得を目指すのならば、どのようなあり方がよいのか。家庭状況や夫婦の考え方によっても取得の有無やその期間、育休中の生活の仕方は大きく異なるようです。
(Nao Kiyota)