昨年公開されて大ヒットを記録し「第43回日本アカデミー賞」で優秀作品賞を受賞した映画「翔んで埼玉」がついに地上波で初めて放送される。フジテレビ系で2月8日土曜日の夜9時から完全ノーカットで放送。同映画は魔夜峰央氏の同名マンガを元に、埼玉県と埼玉県民を壮絶にディスった内容。それだけに埼玉県民を中心に期待が高まっている。
「あまりに埼玉のローカルネタが多いので、映画公開時は『埼玉県民以外が観て楽しいのか』との声が上がりました。ところが日本中で大ヒット。それを受けて『埼玉あるある』や『県民だけが知ってるネタ』が話題になりました」(映画誌ライター)
そんな埼玉あるあるのひとつが「埼玉県を走る主要鉄道路線の骨肉バトル」だ。埼玉県は鉄道の要所である大宮駅があり、そこから多くの路線が埼玉の端に向けて走っている。その中で中心的な路線がJRの宇都宮線(東北本線)と高崎線。
どちらもかつては上野駅から発着し(上野東京ラインが開通してからは変更)、大宮までは同じ路線を走る。そして大宮から先で宇都宮線は北北東へ、高崎線は北西へと進路を変えて離れていく。どちらも緑とオレンジの帯が引かれた車両で、よく利用する人でないと、区別がつきにくい。また、どちらも平行して新幹線が走っているのも同じだ。
「似ているからなのか、2つの路線の沿線住民はライバル意識が強く、お互い『相手の路線のほうが田舎』と思っているんです。自分のほうが上だと思っているんです。映画では大宮と浦和が不仲であるという描写がありましたが、それに近いですね」(鉄道ライター)
さらに映画では、埼玉と千葉がお互いにライバル意識を持っていて、バトルになるというシーンがあったが、鉄道路線でもそれがあるという。
「宇都宮線と高崎線がそれぞれ『相手より上』と思っていると先ほどお話しましたが、この2つの路線の沿線住民はさらに『常磐線は相手よりもっと下』と思っていることが多いんです。常磐線は2つの路線と同じく上野駅を発着していたので比較されることが多かったんです」(前出・鉄道ライター)
実際のところどれが一番上になるのだろうか。
「甲乙つけがたいというのが、正しいのではないでしょうか。どこも夜の下り列車に乗ると、アルコール飲料とさきいかのにおいが充満していることがあって、まるで昭和の夜行列車を思わせます。いい路線です(笑)」(前出・鉄道ライター)
映画を観る際には「埼玉県は一枚岩ではなく、意外と仲が悪い」「千葉を下だと思っている」という点を踏まえておくと、より楽しめるはずだ。