東京都の小池百合子知事が週末の外出自粛を要請してから一夜明けた3月26日、都内のスーパーでは食料を買い求める人たちが殺到。レジに並ぶ列がとんでもないことになっていたという。23区内のスーパーに開店30分後に到着したという女性誌ライターが語る。
「スーパーの入り口から列が伸びていて、店内に入るための列だと思ったので一度並んだんです。すると前の人が『これはレジ待ちの列だよ』と教えてくれたので、あわてて中に入りました。ごった返した店内では肉の棚が空っぽで、店員さんが忙しく補充しても、棚に並べる端からなくなっていくほど。米やパンも売り切れていた一方で、調理に手間がかかるからか魚介類はまだ残っていました。レジ待ちの列は店内を一周し、店員さんが《次は2番レジにどうぞ!》と案内をしていたのが印象的。ところがお店を出る時にはレジ待ちの列がかなり短くなっており、どうやら店が混む時間帯には波があるようです」
開店直後なら買い物客が殺到し、列が伸びるのももっともな話。また夕方には仕事帰りの人たちでごったがえすのも理解できる。だが他の時間帯にも列がぐんと伸びるタイミングがあるという。その理由はテレビだというのである。
「スーパーの長い列はテレビにとって“絵になる”光景。まずは前夜の内に夜営業のスーパーで撮影したVTRを朝の情報番組で流します。すると《開店直後に行く必要はない》と高をくくっていた層が慌ててスーパーに走るわけです。次にテレビ局では朝にできた列を撮影し、それを昼前の情報番組で放送。そして次は午後に放送と、長い列を撮影しては次の時間帯に放送するというパターンを繰り返します。そのたびに視聴者が《本当に買い占めが起こっている!》と驚き、大慌てでスーパーに駆けつけるというわけです。この繰り返しは夜まで一日中繰り返され、26日の夜中にはもはや商品補充がされずに空っぽになった棚を見て、肩を落とす人が続出することでしょう」(テレビ誌ライター)
事実を伝えるはずのテレビが、かえって不安を煽る形になっているのが、新型コロナウイルス禍の怖いところかもしれない。
(白根麻子)