待望の赤ちゃんをこの手で抱く幸せもつかの間、初めての母親業は甘くなく、不安や自信喪失によってぐったりしてしまうママも少なくありません。我が子の幸せを考えれば考えるほど、「母親が自分で大丈夫か」と、自身を頼りなく感じてしまうことも……。
赤ちゃんの健やかな成長には、ママの心身の健康が欠かせません。「なってはいけない」と身構えることは逆効果ですが、原因や対処法を知っておくことは大切です。
産後はホルモンバランスの変化や睡眠不足などが相まって、ママの心身が安定しにくい時期。出産の1~3週間後、時には数ヵ月後や1年後などに、次のような不調が続く状態を「産後うつ」というそうです。
■産後うつ病の症状(自己チェック項目)
・疲労感、不眠
・不安、緊張、パニック
・イライラする
・希望を持てない
・集中力や記憶力が弱くなる
・気分が変化しやすい
・せかせかする
・興味に欠ける
・自分を責める
・自分を情けなく思う
・食欲がなくなる
・子供や夫に愛情を感じなかったり、持てない
※出典:「産後のメンタルヘルス」三重大学 母子精神保健研究グループ監修
大人の思い通りにはいかないことが多い育児の世界では、「私がちゃんとやらなくちゃ」と責任感が強い人や努力家・完璧主義の人は、母としての自信を喪失しやすいといわれています。また、赤ちゃんの体調が悪い日が続いたり、思うように食事や睡眠を取らなかったり、成長が芳しくなかったりすると、「私がちゃんとできていないからいけないのでは」と責任を感じやすくなります。
こうなると、ママのせいではないのに自分を責めてしまい、ママのメンタルヘルスは悪くなる一方。育児は一人で抱え込まず、「100%でなくてOK!ママは50%頑張って、残りの50%は周りの人に協力してもらおう」などと、心の余裕をもっておくことが大切です。
対処の第一歩は「相談する」こと。ちょっとつらいなと感じたら、我慢しないことが一番大切です。まずは身近なパパや先輩ママ、親戚などにSOSを発信しましょう。心身の体調がすぐれない日が続いたら、病院で相談することも大切です。
不調まで「ママとして失格!」と自分を責める材料にしてしまうと、うまくいかなくなってしまいます。たまには子どもを親戚に預けたり、家事代行・育児代行サービスを利用したりして、ママがゆっくり休むことも一つの方法です。
子どもにとっての“よいママ”は、育児が完璧にできることでも自分のためならどんなことでも頑張ることでもありません。子どもの幸せは、大好きなママが元気に笑顔で過ごしていること。「ママは子どもと一緒に成長していけばいい」とナーバスになり過ぎないようにして、SOSをしっかり発信することを心がけましょう。
(Nao Kiyota)