2021年の4月期は、関ジャニ∞の横山裕がドラマ「コタローは1人暮らし」(テレビ朝日系)に、丸山隆平はドラマ「着飾る恋には理由があって」(TBS系)に出演した。6月23日には、「コタローは1人暮らし」の主題歌で丸山が司会を務める土曜日朝の情報生番組「サタデープラス」(TBS・MBS系)のテーマソングでもある関ジャニ∞の「ひとりにしないよ」がリリース。俳優とミュージシャンの二刀流は好調だ。
関ジャニ∞はデビュー17年のベテラン。地元の関西を拠点にしていた関西ジャニーズJr.時代から数えると、メンバー5人は20年選手となる。今でこそ「紅白歌合戦」(NHK)の常連グループだが、Jr.時代は苦労の連続。関西発のジャニーズで成功したのはKinKi Kidsだけで、8人編成(当時)で世に出るのは困難をきわめた。当時を知るアイドル誌ライターが振り返る。
「関西Jr.の聖地といえば、大阪・道頓堀にある大阪松竹座。関西初の洋式劇場には、Jr.の公演が催されてきた歴史があります。関ジャニ∞もJr.時代に単独公演を開きました。初日こそ3階席まで埋まって満席でしたが、2日目以降は激減。3日目に2階席が潰され、中日(なかび)には1階席も半分ほどしか埋まらなくなりました」
当時、関西のローカル番組にそこそこ出ていたため、関係者は埋められると踏んでいたが、ふたを開ければ大誤算。そこでスタッフは、奥の手を打った。関東Jr.で飛ぶ鳥落とす勢いだった亀梨和也らを送りこんだのだ。
「のちにKAT-TUNとなる亀梨や赤西仁らは、すでに出演公演のチケットが手に入らないほどの人気。関西勢にとってはライバルでしたが、背に腹は代えられない。急きょゲストで呼ぶと、連日満員になりました」(前出・アイドル誌ライター)
KAT-TUNは関ジャニ∞の2年後輩。デビュー後はさらに差が開き、KAT-TUNは東京ドームの単独連続コンサート記録を打ち立てるなど、邦人アーティストのレコードを次々と塗り替えていった。奇しくも、関ジャニ∞と同じく3人が脱退したところだけは同じだ。
一方の関ジャニ∞は、後輩にごぼう抜きされることに慣れてはいたが、「KAT-TUNで満員」は屈辱だった。メンバーの脳裏には今でも、ガラガラの松竹座が焼き付いているという。全国ドームツアーを満員にできるようになり、ビッシリ埋め尽くされた館内を見渡しても、「あれ(観客)はサクラちゃうか」と疑ってしまうほど、松竹座のトラウマは消えない。
逆境をバネに。それも、5人にまで減少した関ジャニ∞のエネルギーの1つと言えるだろう。
(北村ともこ)