お笑いコンビ・爆笑問題の太田光が7月18日放送の「サンデー・ジャポン」(TBS系)に出演し、過去の“イジメ告白”で批判を集めたミュージシャン・小山田圭吾について言及した。
小山田は東京五輪の開閉会式制作メンバーに作曲家として名を連ねるも、およそ26年前にサブカル誌のインタビューで、学生時代に障害を持つ男子をいじめていたことを告白。悪びれる様子もなく、記事には「(笑)」の記載もあったことから、大きな波紋を呼んでいた。
太田は渦中の小山田について、イジメ行為は絶対にあってはならないものとしつつ、「当時の雑誌が、それを掲載して、これを許容して、校閲通っている。(当時の)サブカルチャーにそういう局面があったということ。その時代の価値観と今の時代の価値観がある。その時代の価値観を知りながら評価しないとなかなか難しい」とコメント。1995年当時のサブカルチャー文化と現在の価値観との違いを考慮する必要があると述べた。
また、小山田バッシングが巻き起こっている点についても「すごく、吊るし上げのような、彼が(五輪から)退場するまで続けるのか。それはまた(イジメの)連鎖になってしまうのではないか」とし、現在は逆に小山田が“被害者”になっていると警鐘を鳴らした。
なお、小山田はこうした事態を受け、7月16日に「多くの方々を大変不快なお気持ちにさせることとなり、誠に申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます」と謝罪。加えて、イジメをしてしまった当事者には可能であれば直接謝罪をする意向であることも報告した。しかし、それでも批判の声は止まず、ついに7月19日、五輪開会式作曲担当を辞任した。
「太田が指摘するように、現在のモラルでは考えられないようなインタビュー内容を掲載した当時の雑誌の校閲にも驚きの声が出ており、時代背景や価値観の違いが少なからずあったことは否定できません。しかし、汚物を食べさせて蹴りを入れるといった悪質なイジメのインパクトが強く、ネットでは『障がい者に対し排泄物を食べさせる、というのは当時においても許容されていない』『そんなことが正当化された時代なんてない』との反論も。
また、当時のサブカルチャーにそうした寛容さがあったとの主張にも『サブカルにそんな局面ないだろう』との指摘をはじめ、『太田の考えは完全におかしい』『小山田の行為はイジメではなく拷問、暴行以外の何物でもない』『太田さんはコメンテーター辞めたほうがいいと思います。まるっきり的外れであきれた』などの苦言が殺到しました。太田は、不貞や法律違反薬物の使用など、不祥事を起こしたタレントに対して基本的に擁護するスタンスを取りますが、今回のケースではそうした姿勢が視聴者からは反感を買う結果になっています」(テレビ誌ライター)
また、“バラエティ番組におけるイジり”と“学校のイジメ”についても、太田は2012年11月放送の「探検バクモン」(NHK)で、「僕自身、田中(裕二)とコンビやってると、『こいつ、片玉ですから』『チビですから』ってやるわけですよ。そうやると、ワッとウケるんですよ」としつつ、「でも、別の角度からすると、イジメですよ」「こいつが突然自死したら、これはもうお手上げなんです、僕らは。それをやってもおかしくないことを言いますから。で、多分そういうことは学校でも起きてるんじゃないか」と語っている。
つまり、太田にとって、イジメの加害者である小山田を声高に非難することは、自らの芸風を否定することにもつながりかねないため、こうした見解にならざるを得ないとも言えるだろう。
日本だけでなく、海外メディアからも批判を集めている小山田のイジメ発言だが、太田はこれまで築き上げてきた自らの芸人としてのスタイルも含めて、複雑な心境を抱いているのかもしれない。
(木村慎吾)