失恋したら誰でもツラいとは思います。でも、個人差があるんですよね。同じ出来事があっても、かなり苦に思う人とそうではない人がいます。もともとの性質の違いもありますが、ある程度は練習をすれば変えていくことができるんです。
苦しんでも苦しまなくても、同じように時間は過ぎていきます。ならば、苦しまずに過ごせる時間が長いほうがいいとは思いませんか? そして、そういう人のほうが人を引き寄せ、幸せな恋愛をしているようです。
失恋でツラいのは、自分の価値観とはまったく違う価値観と出合ったとき。「どうして私のことを分かってくれなかったのか」「どうしてあの人はあんなことを言ったのか。するのか」と驚いたり悲しんだり……苦しいですよね。
まず、こうして「驚いたり悲しんだり苦しんだりする必要はない」という認識を持ちましょう。あの人と私は違う。だからといって、いちいち心をかき乱される必要はないのです。あの人が自分とは違う価値観で物事を判断しても、「そのことをひとつひとつ気にしない」ことです。
これは、最初のうちはなかなか難しいかもしれません。おそらくあなたの頭の中には、「一般的には……」「常識的には……」という、あなたなりの考えがあるのかもしれません。そして、自分とは違う価値観に対してストレスを感じるのでしょう。
でも、考えてみてください。あなたとあの人は違う生き物。ですから、それぞれが思う“一般的”とか“常識的”というのは、違っていて当たり前なのです。あなたにはあなたの正しさがある。相手には相手の正しさがあります。ただそれだけのことなのです。
もちろん、より多くの人たちが支持する価値観というものはあるでしょう。しかし、別れた彼の価値観がそれとは違うからといって、彼の価値観を否定する必要はありません。逆に、相手の価値観から押しつぶされる必要もありません。
なのに、多くの人たちはまったく必要のないことに自らが巻き込まれ、苦しんだり悲しんだりしています。私たちがやるべきことは、巻き込まれることではありません。他者と自分を切り離して考えることです。あの人はあの人、自分は自分。そうやって割り切ることです。
誰とでも、相容れない部分はあります。そのときに、相容れないけれども一緒にいるのか、相容れないからさよならするのか、それだけのことなのです。
好きな人ができると、つい“一心同体”という空想をしてしまいますが、他人と自分を混同しないことです。それが、悩みから解放されるコツです。熱くなり過ぎてはダメ。冷静に、冷静にね。
(恋愛カウンセラー・安藤房子)