国民的アイドルでも視聴率の壁は厚かった。4月スタートのジャニーズアイドル主演ドラマの視聴率が思うようにあがらないでいる。人気枠の日曜劇場でも御多分にもれず、大きく数字を落とす結果に関係者の悲鳴がこだましている。
4月24日に放送された嵐・二宮和也の主演ドラマ「マイファミリー」(TBS系)の第3話の世帯平均視聴率が11.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。初回世帯平均視聴率12.6%でスタート。第2話が12.8%と右肩上がりし、上り調子でいくかと期待されたが、第3話で一気に0.9ポイント落とすまさかの結果となった。
「第3話は誘拐された娘を取り戻すために犯人の要求をのみ、警察を排除することを決めた夫婦が実の両親をも欺いた結果、無事に娘を取り返して誘拐事件解決となるまでが描かれました。一件落着かと思いきや、383日後に二宮が後悔の絶叫をあげるラストで終了。謎が謎呼ぶ思わせぶりな結末にネットでは話題騒然となっていましたが、意外に数字は伸びませんでした。あまりに早い段階での解決で見る気が失せたのか、ツッコミどころ満載の警察のザルな捜査に呆れてしまったのか」(女性誌記者)
木村拓哉の主演ドラマ「未来への10カウント」(テレビ朝日系)の第2話も初回世帯平均視聴率 11.8%から10.5%へ1.3ポイントも落としている。
「最愛の妻の死によって生きる希望を失っていた木村が高校ボクシング部のコーチを引き受けされたことにより、周囲に感化され人間再生していく様を描く熱血感動ストーリー。無気力人間の木村がボクシング部部員の熱いハートに触れて、激変していく姿が描かれます。その途中には様々な障害が待ち受け、一つ一つクリアしていくことで次々感動が生まれるというド根性路線。とはいえ目新しさがなく、ド定番のサクセスストーリーがこの先展開していくことが予想され、いうなればありきたりの学園もので、木村らしさもなければ、木村ならではの持ち味もありません。テレ朝ドル箱である木曜9時枠の固定ファンを満足させるには、ほど遠い内容といえそうですね。『ドクターX』シリーズのような爽快感ありの勧善懲悪ドラマでもなし、この先の巻き返しは難しいかも」(芸能ライター)
木村といえば、連ドラ「ロングバケーション」で最高視聴率36.7%を獲得するなど、高視聴率男の異名をほしいままにしてきた。それだけにおのずと視聴者のハードルが高くなっているのは否めない。よりよいものを期待され続けている役者だけに、なまじっかの作品では満足できない。期待値が高い分、がっかり度も高く、数字が伸び悩んだのかもしれない。
二宮と木村だけではない。井ノ原快彦主演「特捜9season5」(テレビ朝日系)も初回12.4%から第2話10.9%に落としている。そればかりか、今期の連ドラでジャニーズ主演ドラマはいずれも1ケタスタートに甘んじている。松岡昌宏主演「家政夫のミタゾノ」(テレビ朝日系)は7.0%。なにわ男子・道枝駿佑主演「金田一少年の事件簿」(日本テレビ系)は7.8%。Hey! Say! JUMP・山田涼介主演「俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?」(テレビ朝日系)やNEWS・増田貴久主演「吉祥寺ルーザーズ」(テレビ東京系)、King & Prince・神宮寺勇太の単独初主演「受付のジョー」(日本テレビ系)、HiHi Jetsの5人が初主演する「全力!クリーナーズ」(朝日放送)はいずれも深夜ドラマ。はなから2ケタ視聴率は望むべくもない。
「今や時代が変わり、有料配信サービスで連続ドラマを視聴することが可能になりました。この4月からはTVerでの同時配信もスタート。GYAO!でも無料配信されており、日本全国の視聴者が時と場所を選ばず視聴することができるようになっています。逆に言うと、オンタイムでテレビにかじりつかなくても、スマホやパソコンで見られるのです。それは視聴率には全くカウントされません。つまりテレビが茶の間の団欒の象徴であった時代は完全に終わりました。たとえ人気者を主役にすえても、それだけで数字を稼ぐことは難しいのです。今後は社会的現象になるくらいのパワーを持った作品でないかぎり、人々の記憶にも記録にも残らなくなります」(ドラマプロデューサー)
ドラマの大量使い捨て時代が始まっていると言えるのかもしれない。
(塩勢知央)