人生100年時代、年老いても若々しくいたいものですよね。近年、高齢者の方に生き生き過ごして欲しい……という想いから、さまざまなプロジェクトが生まれて話題になっています。実は、それらには“精神的な若さ”を保つヒントが満載なんですよ。具体的な方法をみていきましょう。
■“推し”の存在を作る
若者の間で流行っている、お気に入りのアイドルやキャラクターを応援する「推し活」。高齢者が行うことで、心身ともに元気になる可能性があるようです。
サントリーウエルネスが2020年12月よりサッカーJリーグの複数のクラブと連携して行っている「Be supporters!(サポーターになろう!)」プロジェクトでは、その推し活がよい影響をもたらしていることが分かります。
このプロジェクトは、高齢者や認知症の人など、普段は支えられる場面が多い方々が地元のJリーグサッカークラブのサポーターとなることで、クラブや地域を支える存在になるというもの。高齢者施設で試合を観戦し、推しの選手を決めて名前や彼らの特徴を覚えます。クラブのユニフォームを着て、応援に備えてサポーター飯、通称“サポ飯”を準備。また、リズムに合わせて手を叩きながらコールをするなど、さまざまな応援プログラムを実施しています。
なお、慶應義塾大学医学部の伊藤裕教授は、「主体的に誰かとつながっている幸福感が、高齢者を元気にしているのでは。“推し”を作ることは、自分の分身のような存在を見つけ、気分的に高揚するという点で意味があること」と話しており、医療の分野からも熱い注目が集まっているそうですよ。
プロジェクトを推進するサントリーウエルネスの吉村茉佑子さんは、「施設職員の方々から、普段歩けなかった方が、推しの選手の来訪を喜んで選手に駆け寄ったり、夜に寝付けなかった認知症の方がぐっすり眠れるようになったり、お話ができないと思われていた方が応援コールを発するときに自然と声が出たりと、誰も想像しなかったことが起きていると伺っています。コロナ禍で高齢者の方々の孤立や分断が社会課題となる中でも、このプロジェクトで生まれた“つながり”で、高齢者がワクワクと自分らしく輝いて元気になってくれたらうれしいです」と話します。
誰かを応援することで、自分も若々しくなれることを実感させられますね。
■化粧をする
化粧療法というものがあるように、年老いても化粧をすることで、気持ちにハリが出るなどの効果が期待できることが分かっています。
ハリウッド化粧品は、2011年東北被災地化粧品プロジェクトとして、避難所にいる女性たちに化粧品を届けたそう。そのとき、口紅を差した老若の女性の表情がパっと華やかになったことで、高齢者社会の健康や生きがい創出、地域活性化を目指す「口紅の力」プロジェクトを始動させました。
避難生活を送るおばあちゃんたちが、口紅を差した様子を目の当たりにしたハリウッドの金野英美子さんは、「赤い口紅をつけたとたんに、別人のように生き生きとされました。被災して、化粧を忘れていたと話す方々が、支援品の中に口紅を見つけ、とてもうれしくなったとのこと。おしゃれや化粧は心の安定剤です」と話します。
口紅を塗るというちょっとした行為ではありますが、女性にとっては大きな意味があるようですね。
「推し活」と「化粧」は、いくつになっても心身に張り合いをもたらしてくれるようです。精神的な若さをいつまでもキープするために、みなさんもチャレンジしてはいかがでしょうか。