もうすぐ年末年始。今年は帰省する家庭が多いかもしれません。実家や義実家に帰省し、「そろそろ老人ホームなどの入居を検討したほうがいいかも……」と実感する人もいるのでは。でも、いざ介護施設を選ぶとなると、右も左も分からずに「後悔することも多い」とよく聞きます。そこで、介護施設の失敗しない選び方をみていきましょう。
これまで1,500件以上の施設入居相談を受けてきたという老人ホーム・高齢者住宅検索サイト『LIFULL 介護』の小菅秀樹編集長は、「老人ホームや高齢者住宅選びのポイントを一言でいえば、よいホームではなく、合うホームを探すことです。アットホームな雰囲気を重視するか、ホテルのようなサービスを期待するかなど、人によって求めるものはさまざまなので、何を重要視するかを事前に明確にしておくことがその後の満足度にもつながってきます」と話します。
同サイトでは“失敗しないための介護施設選びチェックリスト11”を紹介しており、小菅さんは「ポイントは“人”。大切な家族を介護し、サポートしてくれるのは建物ではありません。見た目やうたい文句、企業規模などに惑わされず、正しく判断することが重要です」と、選ぶ際のアドバイスをしています。
11のチェックリストでは、「事前」「見学」「QOL」と3つのカテゴリーに分け、チェックすべきポイントが紹介されています。
■事前
1.「大企業信仰を捨てる」
画一的なサービスを提供している事業者もあり、“大企業=質の高い介護を提供している”とは言い切れません。逆に、運営会社が小さなところは、経営者と入居者の距離が近くて個別対応が柔軟など、魅力的な側面も多数あります。本人や家族の希望がどのくらい叶うかを確認してください。
2.「施設種別にとらわれない」
「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「グループホーム」などの種別に関わらず、本人や家族のニーズを叶えてくれる施設を選ぶことが大切です。
3.「職員の定着率」
1年未満の非常勤のスタッフが多い施設は、職員の入れ替わりが激しくて関係を築きにくい可能性があります。重要事項説明書で3年以上勤務している割合や常勤・非常勤の割合を開示しているので、必ず確認してください。
■見学
4.「見た目で判断しない」
マンションの内覧会気分で選びがちですが、老人ホーム選びであくまで大事なのは“人”です。ベテランのスタッフが多数在籍するなど、親を安心して任せられるか否かを判断しましょう。
5.「施設の雰囲気」
「人」「清掃状況」「匂い」など、施設の雰囲気を構成する要素はさまざまです。見学時に自分の親を安心して任せられるか、相性も含めてチェックしたいところです。直接介護をしているスタッフだけではなく、事務対応をしているスタッフの感じが悪い場合は、施設自体の高齢者への対応の良し悪しにも関わってくると考えられます。エントランスが汚れている施設は、共用部や居室も清掃が行き届いていない可能性が高いですし、汚物のニオイが気になる施設は、おむつ交換のタイミングや処理に問題があるかもしれません。複数の施設を見学し、比較してみることをオススメします。
6.「介護スタッフの入居者に対する接し方」
接し方で見て欲しいのは、声の掛け方や入居者に対する表情、職員同士の会話です。入居者をどのように扱っているのかは、施設見学時に注意して確認しましょう。
7.「退去要件」
老人ホームは病院と異なり施設ごとに対応できることの限界があるため、どのような状態で退去になるかを事前にしっかりと確認しておきましょう。
8.「夜間の介護体制」
夜間は最少人数で対応している施設が多いです。そのため、緊急時や災害発生時の対応方法はどうか、少ない人員でも安心安全に対応を行っているかは、事前に確認しておきたいポイントです。
■QOL
9.「食事内容」
食事は、食べ比べてみると施設ごとの味の違いも分かるので、見学時に事前予約し、入居者と同じ食堂の端で実際の食事介助風景を確認しながら試食してください。好き嫌いの対応を行っているかどうかもポイントです。冷めた食事を提供していないか、食事介助は適切に行われているかも確認を。
10.「生活に楽しみはあるか」
イベントやレクリエーションなどの内容の確認もしておきましょう。集団レクのみなのか、個別ケアがあるかなどの対応方法も含め、入居してから楽しめそうかどうかを考えてください。
11.「個別対応がどこまで可能か」
面会や外出、入浴で個別対応ができるか否かはチェックポイントのひとつ。コロナ禍での面会も、オンライン対応の有無やその際のサポート体制が充分かどうかは確認したいポイントです。入居者が暮らしやすいように工夫をしているところは、よい施設という印象があります。
これから介護施設を探す際にはこれらのポイントを押さえて、家族みんなが損をしない選択をしたいものですね。