5歳でドラマデビューした神木隆之介には、縁のない話なのかもしれない。
神木が主人公の槙野万太郎役を務めるNHK連続テレビ小説の「らんまん」。4月6日放送の第4回には子役の野原壱太が登場し、3作品連続での朝ドラ出演とあって朝ドラファンが沸いているようだ。
野原は前作の「舞いあがれ!」にて、長崎・五島に住む浦一太の少年時代を好演。最終週には一太の息子・進として再登場を果たしていた。
前々作の「ちむどんどん」では砂川智(前田公輝)の弟・旭役で出演。子役と言えども同じ演者が朝ドラ3作品に連続出演することは珍しく、視聴者からは<すでに名バイプレーヤー><人気者だなあ>といった声が続出している。
「3作連続出演ということはすなわち、NHK東京とNHK大阪の両方に起用されたことを意味します。しかも『舞いあがれ!』では長崎・五島でのロケにも参加しており、かなり重宝されていた様子。朝ドラファンのあいだでは早くも、今年10月にスタートする『ブギウギ』にも出演してほしいとの期待が高まっているようですね」(テレビ誌ライター)
その野原に注目が集まる一方で、今回の放送では子役の世界における残酷な現実もまた、示されていたという。
野原が登場したのは、5歳当時の万太郎(森優理斗)が神社を訪れていた場面だった。140年続く造り酒屋の峰屋を営む槙野家は、名字帯刀を許されている名家。それゆえ万太郎は庶民の子供たちと遊ぶことがなく、番頭の息子である竹雄(井上涼太)が唯一の遊び相手だ。
神社の境内で万太郎を見つけた子供たちは「ほんなら坊ちゃんも遊ぼう!」などと話しかけるも、竹雄は「お前らとは遊ばんき」と追い払っていた。この場面に子役同士の格差が表れていたというのである。
「オープニングのクレジット表記では野原のほか、齋藤統真という子役の名前を記載。しかし庶民の子供たちは4人いたので、2人は名前を載せてもらえなかったことになります。その違いは単独でしゃべるセリフの有無。万太郎に話しかけていた野原や、『峰屋の坊ちゃんは遊んじゃいかんがか!?』などのセリフを与えられていた齋藤は名前を紹介してもらえたのに対し、はやし立てるだけの二人は無名のままだったわけです」(前出・テレビ誌ライター)
同様の格差は子役のみならず、大人の世界にもある話。この「らんまん」でも酒屋の蔵人が数多く登場するなか、名前をクレジット表記してもらえる演者はごく一部に過ぎない。
そう考えると朝ドラに3作連続で出演している野原が、若いうちからどれだけ大きなチャンスに恵まれているのかが実感されるというもの。果たして彼は将来、神木のような人気俳優になれるのか。十数年後を今から楽しみにしている視聴者もいることだろう。