早くも4年後が気になる市民も少なくないようだ。
4月23日に行われた函館市長選挙にて、新人で元函館市役所職員の大泉潤氏が、地滑り的な大勝利を果たした。対立候補の現市長に対して4.18倍もの大差で当選したもの。
大泉氏は9万8174票を獲得し、実に有効投票の8割以上が投じられたことに。21世紀に行われた過去5回の選挙で最大の票差は3.68倍だったことから、いかに大泉氏の当選が大勝だったのかが分かる。
「今回の函館市長選は、大泉潤氏が俳優・大泉洋の実兄であることから、地方都市の市長選挙としては異例なほどの注目を浴びていました。しかもふたを開けてみれば歴史的な大勝でしたから、北海道における“大泉ブランド”の強さが際立ったとの論調も目立ちます。ただ地元民に言わせると、結果は最初から見えていたのです」(函館出身のライター)
地元民のあいだでは、大泉ブランドの貢献はせいぜい、票差が3倍から4倍に広がった程度との見方もあるという。人口減が国内最悪レベルの現状で、閉塞感を打ち破ってくれる新人候補への期待感が高まっており、相手が大泉氏でなくても現職が負けていたとの声は大きい。
選挙戦で潤氏は、大泉洋の兄であることは隠そうとしなかったものの、一部から期待されていた弟の選挙応援はなし。それについても大泉洋が出るまでもなく、潤氏が勝つのは確実という観測が強かったからとの見方もある。
一方で今回の当選により、4年後には大泉洋がいよいよ選挙応援に乗り出すのではと予測する向きもあるようだ。それはいったいどういうことか。
「潤氏は選挙期間中に、たとえ当選しても一期限りで後進に道を譲ることを匂わせる場面がありました。とはいえ市長を一期だけ務めて引退は考えづらいところ。当選を果たしたいま、その言葉は二期目に出馬せず、次はステップアップを目指すと受け止めるのが自然かもしれません」(前出・函館出身のライター)
そのステップアップとはずばり、北海道知事選挙だというのである。直近の知事選は4月10日に行われたばかり。函館市長選挙とは同じタイミングとなっているため、潤氏の市長任期が満了する2027年4月には、次の北海道知事選挙が行われる形だ。
函館市役所の職員だった潤氏だが、出身は札幌に隣接する江別市であり、本人は札幌北高を卒業。札幌南高と並ぶ地元の名門進学校で、北海道大学には毎年100人以上を送り出している。それこそ北海道の政財界には数多くの同級生がいることだろう。
「全道を対象とした北海道知事選挙であれば、今度こそ弟の洋も兄のことを応援できるのではないかと予測する向きもあります。大泉家に直接の関係がない函館市の市長選挙とは異なり、『北海道の英雄』である洋の実兄が北海道知事選挙に出馬するなら、堂々と応援できるということです」(前出・函館出身ライター)
もちろん北海道民も著名人の兄だからと言って無条件に応援するような、はんかくさい(バカな)真似はしないもの。ただ潤氏が次の知事選に出馬するのであれば、函館市長として評価されたという前提になるはずだ。そうなれば北海道生まれの道産子で、札幌の高校を卒業し、道内の市長として実績を持つ人物に期待が高まるのも当然だろう。
果たして4年後に大泉市長は知事選に出馬するのか。そして弟の洋は応援演説をするのか。いずれにせよまずは、停滞する函館市を浮上させてくれるのか、新市長のお手並み拝見となるのは確実だろう。