中高生のような多感な時期の子どもを持つ親は、日々その様子が気になっていることでしょう。そんな中、「この子、人より汗の量が多いみたい……」と感じることはありませんか? 実は、「体質や遺伝だと思っていたら病気だった」ということもあるようです。
今回は、汗の多い「多汗症」という疾患を持つ17歳の女性と、その母親のエピソードを紹介していきましょう。
■「ワキ汗が多いかも……」と気になり始める時期は?
科研製薬が実施したワキの多汗症患者を対象とした調査で、「ワキ汗が気になり始めた時期は」という問いに、4割以上が「中高生」と回答し、最多となっていました。そこで、同社はNPO法人の多汗症サポートグループと共同で、ワキ汗・多汗症の悩みや親子での認識のギャップ、最新の治療法などを解説するワキ汗・多汗症疾患啓発セミナーを開催。中高生患者を代表して、17歳の女子高生である山形想さんとその母親・淑恵さんが、多汗症の悩みや治療時のエピソードなどを語っていました。
■16歳の娘に相談されて……
想さんは、手と足の裏、ワキ汗などの症状を抱えており、小学生のときに同級生から指摘を受けたことで、汗が人よりとくに多いことに気付いたそうです。当人は、体育の授業で人と手をつなぐことをためらうことも。また、テスト中に回答用紙が汗で濡れて破れてしまうこともあって悩んでいました。
インターネットで調べたところ、「多汗症」という病気が存在することを知り、母親の淑恵さんに相談して、16歳のときに病院を受診したそうです。淑恵さんは「汗が多いと娘から相談を受けたとき、まだ多汗症については知らなかったので、“汗が多いだけで受診していいのかな”という気持ちが正直ありました。ただ、娘のツラい思いを受けて多汗症について調べていくうちに、その可能性があるならば受診をしなければと思うようになりました」と、当時を振り返っていました。
そして山形さん親子は、同じようなことで悩んでいる人に向け、次のように話しました。
「多汗症は当初マイノリティだと思っていましたが、調べていくうちに周りにも患者さんがいることが分かりました。なので、困っているのはあなたひとりじゃない。あきらめず、いろんな人を頼って欲しいなと思います」(想さん)
「子どもが大きくなり、思春期になってくると、コミュニケーションを取る時間が減ってきてしまうと思います。その中でも、親は常に一番身近な存在だと思います。少しでも子どもの悩みに気付き、勉強や生活などで本来持っているパフォーマンスを出せるような環境を作ってあげることが大事だと思います」(淑恵さん)
■困っているなら受診を
もし、同じようなことで悩んでいるなら、一度、受診を考えてみてもいいかもしれません。これまでに多くの多汗症患者を診察してきた池袋西口ふくろう皮膚科クリニック院長の藤本智子さんは、次のように話します。
「症状の感じ方には個人差があります。もし、汗のせいで本人の生活に支障が出たり、汗を気にすることで本来のパフォーマンスが発揮できていないと感じていたりする場合には、多汗症の可能性があるため、一度医療機関の受診を検討したほうがよいと思います」
「子どもの汗の量が気になる……」という場合には、ぜひ親子で話し合ってみてくださいね。