よもや脚本担当の宮藤官九郎は、受賞を狙っていたのだろうか?
6月20日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第68話では、東京への家出に失敗したアキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)が、アイドルになりたい思いを北三陸の大人たちに力説。そこでユイが半年後の未来を予言していたと、視聴者が驚いていたという。
ミス北鉄のユイを地元に留めておきたい大人たちに対して、ユイは東京で北三陸をアピールしたほうが効果的だと力説。これには観光協会会長の菅原(吹越満)も「くそっ! 正論だ」と困り顔だ。
ユイは北三陸の名前を全国区にするために、アキも自分も東京に行ったら積極的になまっていこうとの考えを披露。北三陸在住ながら標準語でしゃべるユイの覚悟に、大人たちは「じぇじぇじぇ!」と驚いていた。
「その反応に我が意を得たとばかり、ユイは『むしろ「じぇじぇ」って言っていこうって!』と力説。共演相手がタモリでも和田アキ子であっても『じぇじぇ』で押し通すと強調し、『「じぇじぇ」で流行語大賞獲りま~す!』と高らかに宣言したのでした」(テレビ誌ライター)
ユイが宣言した通り、本作発の感嘆符「じぇじぇじぇ」は2013年の新語・流行語大賞にて、「今でしょ」「お・も・て・な・し」「倍返し」と並んで年間大賞に選出。授賞式にはユイ役の橋本ではなくヒロインの能年が出席し、「聞くだけで楽しい言葉。うれしくて『じぇじぇじぇ』を叫びたい気持ちです」とハにかんでいたものだ。
よもや6月の放送回で宣言した流行語大賞獲りが実現するとは、制作陣や出演者たちも驚いていたに違いない。海女カフェのある袖が浜のモデルである岩手県久慈市の小袖海岸には、受賞を記念する石碑が建てられることに。そこには「じぇじぇじぇ 発祥の地」との文字が堂々と踊っているのである。
「この『じぇじぇじぇ』はほぼ小袖地区のみで使われており、北三陸市のモデルである久慈市内でもあまり通じないというレアな方言。脚本担当の宮藤が同地をロケハンした際に、海女が発した言葉を採用したものです。それゆえ石碑に『発祥の地』と銘打っているのも当然でしょう」(前出・テレビ誌ライター)
ともあれ、ユイの発した流行語大賞獲りが現実のものになるとは、本放送当時の視聴者は知る由もなかった。それこそ「潮騒のメモリー」や「暦の上ではディセンバー」がCD化されることも、放送時点ではまだ未発表だったもの。今後も「あまちゃん」の作中には、いずれ現実化する要素が詰まっているのかもしれない。