7月7日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第83回では、終盤で「国民投票」の開催を発表。アメ横女学園とGMT6の全46人を対象に、ファンによる人気投票が行われることとなった。その筋書きをいま振り返ると、実に絶妙なタイミングだったという。
この「国民投票」が、AKB48グループの「選抜総選挙」をモチーフとしていることは明らか。「あまちゃん」の脚本を担当した宮藤官九郎はかつて、できるだけAKB48に被らないように工夫したと語っていたが、その発言自体がAKB48を意識していたことを物語っているのは明らかだ。
本放送での第83回は、2013年7月5日に放送されていた。同年の6月8日には第5回AKB48選抜総選挙が開催されたばかり。「あまちゃん」の視聴者は選抜総選挙の結果も記憶に新しいなか、国民投票の行方に興味を抱いていたことだろう。
そんな第5回AKB48選抜総選挙では、AKB48の歴史に残る衝撃が走っていたという。現在に至るまでその影響が残っている衝撃とは何なのか。
「第4回までは大エースの前田敦子と大島優子が交互に女王となっていたなか、第5回では伏兵の指原莉乃が初の女王に輝いたのです。前田は千葉出身、大島は栃木出身ながら6歳から東京の劇団で子役を務めていたのに対し、指原はAKB48に加入するまでは地元の大分県に住んでおり、初の地方出身女王に。また前田が1期生、大島が2期生といずれも初期からAKB48を支えたメンバーだったのに対し、指原は5期生。初期メンバーでなくても女王になれることを示してみせたのです」(アイドル誌ライター)
地方出身者や後発のメンバーでもスターになれる。その事実は、岩手県代表としてGMT6に参加しているヒロインのアキ(能年玲奈)が今後、アイドルとして頭角を現していくとの期待を視聴者にもたらしたことだろう。
しかも指原は当時「さしこのくせに」というキャッチフレーズで知られ、決してルックス面では高評価ではないにもかかわらず、ファンからの熱い支持を受けていた。それは「潮騒のメモリーズの可愛くないほう」と揶揄されていたアキに繋がる要素ではないだろうか。
「当時は視聴者のなかに、アキと指原を重ね合わせている人も少なくありませんでした。アイドルとしてのアキが今後どう成長していくのかはネタバレになるので控えますが、10年後の現在、指原が芸能界のスターであり続けるように、『あまちゃん』は朝ドラ史に残る傑作として語り継がれています。どうやら2013年はAKB48にとっても朝ドラにとっても、重要な一年だったと言うことができそうです」(前出・アイドル誌ライター)
2013年の第64回NHK紅白歌合戦では、AKB48と「あまちゃん特別編」が共演。指原はアキ(能年玲奈)と同じステージで歌ったことになる。だが当の指原は当時、「あまちゃん」を観ていなかったと告白していた。大物になる芸能人は案外、そんなものなのかもしれない。