7月2日午後、北海道札幌市の歓楽街・すすきののホテル内で、60代男性が頭部を切断され殺害された状態で発見される、という衝撃的なニュースは、日本列島に激震をもたらした。いまだ犯人の足取りは不明だが、一部報道では、被害男性の素性も明らかになり始め、事件は、さらにミステリアスな様相を呈してきた。
「被害男性は直前にLGBT関係者が参加するディスコイベントに参加。自身も女装趣味がありました。当局は最初、同性が好きな人同士のカップルの痴情のもつれのセンで捜査していたそうですが、犯人の性別、あるいは性自認は判明しておらず、一方で被害者も妻子ある身。周囲に『好きなのは女の子』と吹聴しており、同性が好きな男性ではなかったようです」(社会部記者)
事件の展開は予断を許さないが、それにしても、多様性の時代と言われる昨今、この「性自認」は非常に難しい問題になっている。
直近では、東京・新宿の複合施設である「東急歌舞伎町タワー」の、男女問わず利用できるジェンダーレストイレの問題も大きく取り上げられた(※現在はパーテーションで女性用トイレが確保されている)が、社会的に新たな試みゆえ、「最適解」が見つかるのはまだ先のことになりそうだ。
しかし、真剣に悩む人がいる一方、単なる自分の快楽や性的欲求のため、「性の多様化」を隠れミノに行動する、けしからん輩がいることもまた事実なのだ。
昨今、大きな問題となっているのが、「女装した犯罪者」の問題である。アングラ事情に詳しいネットライターが言う。
「女装した男性が電車に乗り込んで女性乗客に近づき、車内の混雑に乗じて胸やヒップを触るんですよ。特にコロナ禍を経たことで、大きなマスクで顔を隠していても、誰も何も思いませんからね」
女性用トイレや女性用更衣室、女風呂にも女装男性は出没する。その大多数は盗み撮り目的であったりするが、ご時世がら、「自分の性自認は女性だ!」と言い張る例もあり、性のマイノリティ理解の観点から、今では「明らかに女装した男性が女性用トイレに入った」としても、それを注意することすらはばかられるという問題まで指摘されている。
この6月にも、同様の事例が神奈川県内の駅構内で起き、目撃者が自身のSNSにそれを投稿、ネット上でも賛否両論が巻き起こっている。また、前出のネットライターはこうも言う。
「ややこしいのは、女性を電車内でスムーズに触るための手段として女装するのではなく、自分が触られて性的興奮を得るために女装する輩もいる、ということです。SNSなどに『女装して○○線に乗る』と予告して触ってくる相手を探したりもするし、中には女装した男性を同じく女装した男性がお触りするという変則プレイに興じる例すらあります。一部の好事家の行動が、性的マイノリティーへの誤解を助長しかねないんです」
日本では6月23日からLGBT理解推進法が施行されたが、こうした事態への対処への道筋は不透明な印象はぬぐえない。「女装好き」は何らとがめられることではないが、少なくとも公共の場での振る舞いについては各人が十分に配慮する必要があるのかもしれない。
(写真はイメージ)