一目惚れの恋と、もともと友だちだった男性との恋。どちらにもよさはありますよね。
一目惚れの場合、急激に脳からアドレナリンが出てしまい、毎日気持ちが“スキスキ感情”でいっぱい。ちょっとしたことがうれしくて楽しくて、とても幸せ気分になりますよね。でもその分、ちょっとしたことでガッカリしたりもします。
また、一目惚れは自分とは違う性質の人にしがちだといわれていますので、あなたが穏やかなインドア派なら相手はハツラツなアウトドア派、あなたが読書や映画鑑賞などアート好きなら相手はスポーツ観戦や旅行が好き……というように、あなたが今まで知らない世界をよく知る人のケースが多いです。あなたには刺激的に感じますし、視野が広がります。「なんて素晴らしい人なの!」と、どんどん相手にのめり込みがちです。
一方、友だちスタートのカレの場合には、すでに穏やかな人間関係が出来上がっていますよね。そして、温厚な人柄とか出身地が同じということなどを知って好きになる。一緒に過ごす時間が多いからこそ親しくて信頼できる男友だちになり、その後で恋愛に発展しているという場合が多いです。つまり、一目惚れのカレとの大きな違いとしては、あなたと共通点が多い人の場合が多いということです。
その分、付き合い始めてからも違和感なく、お互いの性質を認めやすいです。最初から“こういう人”と知っての恋愛ですから、意見の衝突が少なく、穏やかで安定した付き合いが続きやすいです。
そうなんです。心理学的には、長く付き合うなら元々の友だちとのほうがいいといわれています。そして、一目惚れのカレとの恋愛は3ヵ月くらいでトキメキが終了しやすく、その時点でうまく愛情に昇華していけるかどうかが、長く付き合えるかどうかのポイントになります。
その一方で、違う意見の専門家もいます。「違う性質の人間同士は“相補関係”にある。なので、お互いに助けを必要とし、助けてくれる人をより好きになりやすい」という意見です。
この意見を信じるとすると、性質の違う人と恋をしやすい一目惚れの恋のほうが、長く継続することもあるということです。おそらく、3ヵ月のトキメキが終了する時点を乗り越えることができれば、この意見のように長期の恋愛に移行するのかもしれませんね。
また、友だちスタートの恋愛が、必ずしも安泰ともいえません。友だちのときには気にならなかったことが、身近になって気になることもあるからです。友だちだから束縛されなかったけれど、恋愛関係になったら急に束縛してくるケースもありますから、100%の予測はできないのです。
心理学の世界にも、さまざまな意見があります。一般的には、一目惚れより友だちスタートの恋がいい。でも、そうではないケースもあるということです。
人間関係とは、ときに意外な関係に発展しますよね。無駄に悲しまないためには、普段から「この人はどんな人?」という観察眼を持っておく必要がありそうです。
安藤房子(あんどうふさこ) 作家・恋愛心理研究所所長。離婚を機に日本初の恋愛カウンセラーとして独立。メールカウンセラーの草分け。心と身体両面からのアプローチで婚活・恋活女子を応援。著書は韓国・中国でも翻訳出版。心理テスト作成やメディアでMCとしても活躍中。