2013年上期のNHK朝ドラ「あまちゃん」第95話が7月21日に放送され、1970年代後半から80年代に放送された伝説の音楽番組「ザ・ベストテン」(TBS系)が元ネタと思われる架空の歌番組が登場した。
「舞台は1986(昭和61)年。正月映画として大ヒットした、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)主演『潮騒のメモリー』とともに彼女が歌った同名主題歌も大ヒットしたという設定のもと、『夜のベストヒットテン』という、カウントダウン形式でベストテン入りした楽曲を紹介する番組が放送されたのです。司会に扮した糸井重里は久米宏風、清水ミチコは黒柳徹子風のタマネギ頭。本家同様クルクルと回転するパネルでベストテンを紹介する仕掛けで、1位は鈴鹿ひろ美の『潮騒のメモリー』が獲得したんですが、このシーンが凝っていたのは2位以下の架空の楽曲やアーティスト名がそれぞれ実在する曲や人名をもじったパロディーになっていたところ。昭和歌謡ファンならグッと来たんじゃないでしょうか」(エンタメ誌ライター)
まずは、この「夜のベストヒットテン」10位から2位にどんな楽曲とアーティスト名が表示されていたか見てみると、10位は曲名が「ピンクのベートーベン」 で歌手が松本良代。元ネタは「ピンクのモーツアルト」(松田聖子)だろう。歌手名は松本伊代か。以下同様に検証しよう。
9位「星空kiss」リベカ⇒C-C-B「空想kiss」。グループ名はレベッカだろう。
8 位「レモネードな心」岩木麻衣子⇒安全地帯の「ワインレッドの心」。歌手名は時期的に伊藤麻衣子か?
7位「八万光年の恋」小河ヒロト⇒西城秀樹「一万光年の愛」。
6位「待ちわびてヨコスカ」白原明恵⇒柏原芳恵「待ちくたびれてヨコハマ」。
5位「RAIN ~僕の涙~」峰川健史⇒時期的には吉川晃司「RAIN-DANCEがきこえる」?
4 位「熱気」斉藤麻友⇒斉藤由貴「情熱」か。
3位「ロンリーレディー~僕の傍で~」近藤博⇒浜田省吾「LONELY-愛という約束事」
2位「恋する少女」中村亜希子は、「恋する」も「少女」も曲名頻出ワードだが、元ネタはなしか?歌手名は時期的には中村あゆみ。
また、1位「潮騒のメモリー」紹介時には本家「ザ・ベストテン」よろしくランキングを表示する黒いパネルが回転。様々な楽曲名とアーティスト名が表示されていたのでここからも抜粋してみると─。
「青い鳥が飛んだ/藤森春名」⇒中森明菜「赤い鳥逃げた」で確定だろう。
「メトロの彼方は/荒川恵」⇒松任谷由実「メトロポリスの片隅で」。旧名の荒井由実をもじったか。
「もう、駄目なの/和泉晶子」歌手名は和田アキ子か。曲は「だってしょうがないじゃない」の雰囲気。
「君しかみえない恋心/岩木麻衣子」⇒伊藤麻衣子の「見えない翼」か。
「乙女の涙をとめて/藤森春名」⇒中森明菜「飾りじゃないのよ涙は」は苦しいか?河合その子「悲しい夜を止めて}という説も。
「おたまじゃくしの子/前野朋子」⇒わらべ「めだかの兄妹」か。朋子がわらべのメンバー・高部知子とすれば納得がいく。
「女ッ気/女子隊」⇒シブがき隊「男意ッ気」だろう。
「どっこいしょ!/近藤智彦」⇒近藤真彦「ヨイショッ!」。
「夢あおる/五木ひろこ」⇒五木ひろし「夢しずく」。
「そして私は田舎に帰る/大津あかね」⇒大沢誉志幸の「そして僕は途方に暮れる」。大沢つながりで“あかね”か?
以上、パロディのネタ元を真剣に考察してみたが、1985年頃の楽曲が多い。ネタは「あまちゃん」脚本の宮藤官九郎氏が考えたのだろうか?
(石見剣)