この場面、ぜひ観てみたかったヤツだ! そう喜んだ視聴者も多かったことだろう。
7月28日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第101回では、ヒロインのアキ(能年玲奈)が若かりし日の母・春子(有村架純)に邂逅。最後は夢オチであることが示されたものの、交わることがないはずのアキと若春子による共演に、視聴者が拍手喝采していた。
本作ではアキがアイドルを目指している2010年前後と、春子が歌手を目指していた1990年前後を行き来しながら描写しているのが見どころの一つ。春子自身も若き日を有村が、母親となった現在を小泉今日子が演じることで、20年という時の流れを見事に表現している。
そんな二重構造は、前日の第100回でも示されていた。アキは東京・原宿の純喫茶アイドルを訪問。そこはかつて春子がアルバイトしていたところで、マスターの甲斐(松尾スズキ)は春子の娘が訪ねてきたことに大層驚いていたものだ。
「本作で、若き日の春子と大人になった春子の両方に接する登場人物はかなり限定されています。現時点では春子の母親である夏(宮本信子)と、高校の担任だった現・県会議員の足立先生(平泉成)くらいのもの。あとは夏の海女仲間たちが若春子と言葉を交わしたことがある程度でしょうか。なにしろ事務所社長の荒巻太一(古田新太)でさえ、第101回時点では大人になった春子に会っていませんからね」(テレビ誌ライター)
春子の夫である黒川や、かつての先輩で現駅長の大吉は、若春子と現在の春子の両方を知る人物。ただし20年前のシーンと現在のシーンでは演じるキャストが異なっている。
春子が歌の影武者を務めていた女優の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)に関しても、ひろ美がまだアイドルだった20年前のシーンではほとんど顔が映らず、薬師丸以外のキャストが演じているのは明らかだ。
そんな二重構造ゆえに、ほとんどの視聴者はアキが若春子と共演する場面に期待していなかったことだろう。それを夢オチとはいえ実現させた脚本には、視聴者としても拍手を送りたくなるところではないだろうか。
「そうなってくると、若春子と現春子の共演にも期待したいもの。ただ夢オチという手法を使ってしまったので、同じ手口は使えないでしょう」(前出・テレビ誌ライター)
今回の夢オチに限らず、アキと若春子の共演をもっと観たいという視聴者も多いに違いないだろう。