ピントのズレまくった政策の陰で、本当に役立ちそうな政策があまり広まっていないという現実もあるようだ。
政府が掲げる「異次元の少子化対策」の一環として新設された「ブライダル補助金」が炎上している。首相補佐官の森まさこ参議院議員が8月12日、X(ツイッター)に「議連の要望が叶い新設されたブライダル補助金の第一次、第二次公募の結果について報告を受け、夏の概算要求に向けた対応も説明を受けました」と投稿。
同ツイートの画像内には「私が会長を務める自民党少子化対策議連の要望により、新設されたブライダル担当!」の文字が躍っている。どうやら森議員としては幅広い支持を得られると期待しているようだが…。
そんな森議員の意図に反してか、同ツイートに対しては<具体的にどのくらいの出生率の増加が見込めるのですか?><結婚式が挙げられないから結婚しないんじゃないぞ>といった反論が続出している。
「もはやこの政策がどれほどピント外れなのかを解説するのもバカバカしいほど。ブライダル業界に補助金を出すなとは言いませんが、特定の業界だけが得をする政策でなぜ少子化対策になるのか、風が吹けば桶屋が儲かる並のトンデモ理論であることは論を待たないでしょう」(子育て中の女性誌ライター)
この補助金により、結婚相手がいない独身者に結婚相手が見つかるとは到底考えられないほか、結婚を予定しているカップルが「これで子供を作れる!」と思うこともまずありえないだろう。
もはや政府が考える少子化対策などこんなレベルでしかないのか…と憂う人たちも多いはず。とはいえ政府もそこまで愚かではないと思いたいところ。実際、結婚や子育てを検討しているカップルにとって、役に立つ補助金も存在しているのである。問題はその補助金がほとんど世間に知られていないことではないだろうか。
2016年度にスタートした“結婚助成金”こと「結婚新生活支援事業費補助金」は、結婚に伴う新生活に掛かる費用を補助するもの。対象は家賃や引っ越し費用で、自治体による補助を政府が支援する制度となっている。
補助上限額は自治体によって異なるが、政府が提示する目安は夫婦ともに29歳以下の世帯では1世帯あたり60万円、それ以外の世帯では30万円となかなかの金額。これだけの補助をもらえれば、結婚して新居を定める際の負担もかなり軽減されるのではないだろうか。
「新婚夫婦には耳寄りな情報ですが、対象地域は2022年10月時点で634市区町村に留まっており、全体の3分の1強に過ぎません。また東京都では同制度の代わりに『TOKYOふたり結婚応援パスポート』を導入していますが、引っ越し費用の補助などはなし。結局のところ、結婚助成金の恩恵を受けられないカップルのほうが多いという残念な状況になっています」(前出・女性誌ライター)
ブライダル補助金よりも、新婚夫婦の新居費用を直接補助するほうが、はるかに少子化対策には意義有用ではないだろうか