どちらの言い分も決して、間違ってはいないようだ。
韓国の人気女性DJ「DJ SODA」が8月13日に開催された音楽イベントで観客に胸をわしづかみにされた性被害問題で、新たな進展だ。
DJ SODAは8月21日、X(Twitter)に日本語と英語で「服装と性犯罪の被害は絶対に関係がないので、絶対に被害者を問題と考えて責任転嫁してはいけない」とポスト。「原因は露出が多いセクシーな服装ではなく加害者である」と、加害者側の責任を指摘している。
今回の事件に関しては一部のネット民から、触られるような衣装で人前に出るのが悪いと、DJ SODA側の責任を問う声もあがっている。その声に関しては彼女自身はもちろん、多くのモデルやタレントから「服装は関係ない」「悪いのは100%触るほう」といった反論が続出している状況だ。
そんなDJ SODAのポストを取り上げる形で実業家のひろゆきは、翌8月22日に「ユタ州立大学の調査では性被害者の22人に1人は、挑発的な服装が被害の一因だそうです」とポスト。
続けて、殺人の場合は22%は服装が原因になると触れつつ、「『服装と性犯罪の被害は絶対に関係がない』は嘘です」と主張している。
社会問題に対して発言する機会も多いひろゆきは、いわゆる「お気持ち」ではなく、れっきとした根拠をもとに主張。今回も大学の調査をもとにしている。
それではDJ SODA側の意見はひろゆきに否定されたのだろうか。実はここに「議論の食い違い」が発生しているというのだ。
「DJ SODA側が主張しているのは、性犯罪をしでかした責任の所在がどこにあるかという話。それに対してひろゆきは、性犯罪が発生した原因について主張しています。一見、似ている話にも思えますが、この二つは別々に議論すべき問題であり、片方がもう片方への反論になる性質ではないはずです」(週刊誌記者)
この手の食い違いは性犯罪にしろ粗暴犯にしろ、発生しがちだ。被害者がよっぽど加害者を挑発していたならともかく、エンターテイメントや日常生活として許容できる範囲の活動を行っている限り、犯罪を犯したほうが悪いのは当然のことだろう。
その点でDJ SODA側が「原因が…加害者にある」と主張するのは当然であり、何ら間違っていないはずだ。
その一方で犯罪が発生するに至る過程では「なぜ犯罪が起こったのか」という状況の精査も重要だ。たとえば空き巣なら「玄関が無施錠だった」「外から屋内が丸見えだった」といった“原因”が指摘されるもの。ひろゆきが指摘しているのはまさに、この部分ではないだろうか。
「だからと言って『玄関が無施錠だったから、盗られたほうが悪い』とならないのは当然のこと。ひろゆきにしろ決してDJ SODAが悪いと糾弾しているのではなく、あくまで《服装と性犯罪の被害は絶対に関係がない》という主張に反論しているだけです。この食い違いがある限り、両者の議論は平行線をたどるばかりでしょう」(前出・週刊誌記者)
防犯という観点では「触られやすい衣装」という指摘も成立する。だからと言って、女性がどんな服装をしていようとも勝手に胸を触ってはいけないのは当然のこと。その認識は忘れないようにしたいところだろう。