ついにキター! そんな声が続出していたようだ。
8月23日に放送されたNHK連続テレビ小説「らんまん」第103回では、俳優の皆川猿時が岩崎弥之助役で登場。現在再放送中の「あまちゃん」に潜水土木科教師の“いっそん”こと磯野心平役で出演して以来、10年ぶりの朝ドラ登場となった。
以前から皆川の出演はアナウンスされており、もとより劇団「大人計画」の主要メンバーとして人気が高いこともあり、今回の初登場には視聴者からも<待ってました!><降臨!>といった喜びの声が続出だ。
ただその一方で、なぜ皆川を起用したのかに疑問を抱く視聴者も少なからずいるという。
「なにしろ皆川の演じる岩崎弥之助は、三菱財閥の二代目総帥にして、現在の三菱グループの祖と言える大実業家ですからね。それゆえ普通なら威厳あるベテランの俳優を起用しそうなもの。52歳の皆川は90キロ超えの巨躯の持ち主で、貫禄という意味では十分ですが、もともとお笑い系の演技を得意としており、大財閥の総帥にはふさわしくないのではと訝る声もあるようです」(テレビ誌ライター)
一方で「らんまん」のファンからは、すでに物語が後半に突入しようとしている状況を見据えて、弥之助役に皆川を起用したことにはちゃんとした理由があると考える向きもあるという。
NHKの公式ページでは、皆川が「ピンポイントでの出演ですが明るく元気に大声でやらせていただきます」とコメント。どうやら、寿恵子(浜辺美波)が叔母のみえ(宮澤エマ)が営む料理屋で働くようになったエピソードのみに出演するようだ。
「本来の弥之助はかなり控えめな人物で、自分の逸話もほとんど残さなかったと言われています。その意味では物語の登場人物としては使いづらいのも否めないところ。そんな人物をいかにも弥之助らしい俳優が演じたら、寿恵子にとって大きな転機でなるであろうエピソードを描くには、いささか不都合ではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
どうやら「らんまん」では、弥之助に関しては史実とは関係のない創作要素を描くつもりなようだ。そうなるとピンポイントでの出演で視聴者に大きなインパクトを残せる俳優を起用したほうが、物語のうえでも都合がいいはず。
そうなると「あまちゃん」から10年ぶりの出演が話題となり、コミカルな演技を得意とする皆川の起用は、狙い通りと言えるのかもしれない。本来の人物像とは大きく異なる弥之助となりそうだが、ドラマとしてはそれが正解なのかもしれない。