その真意は何だったのだろうか。10年経った今でも答えは出ていないようだ。
8月28日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第127回では、映画「潮騒のメモリー~母娘の島」の撮影に臨んでいるヒロインのアキ(能年玲奈)と母親役の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が、役作りのために同居を開始。その場所は鈴鹿の家ではなく、なぜかアキの自宅だった。
アキの自宅は父親でタクシー運転手の正宗(尾美としのり)がローンで買ったマンション。現在はアキを所属タレントとするスリーJプロダクションのオフィスでもある。社長を務める母親の春子(小泉今日子)が祖母の看病で帰省していることから、春子の部屋にひろ美が寝泊まりすることになった。
その回でひろ美が見せた仕草を巡って、視聴者の間で喧々諤々の議論が交わされているという。
アキの自宅に居候する形にもかかわらず、自分の生活ペースを崩そうとしないひろ美。この日も朝5時前に起床し、特製の野菜ジュース「鈴鹿スペシャル」を作っていた。いつも1時間のウォーキングをしてから鈴鹿スペシャルを飲んでおり、この日もアキに「喉にもいいのよ、びっくりするくらい声が出るから」と飲ませていた。
「鈴鹿スペシャルを飲んだアキは、あまりもの不味さに『うわ~っ!』と絶叫。ひろ美自身もジュースを飲みほしては『わーっ!』と声を出し、『ねっ? 出るでしょう』とドヤ顔です。この直後に問題のシーンが繰り広げられたのでした」(テレビ誌ライター)
ひろ美はアキに「お父さん、起こしてきて」と指示しながら、エプロンで口元を覆うことに。表情は良く見えないが、なぜそんな仕草を見せたのかを疑問に思う視聴者が続出したのである。
推測される理由のひとつは「お父さん、起こしてきて」というセリフが独身であるひろ美のツボに入り、思わず笑ってしまったというもの。だがよく見てみると、ひろ美はセリフを言い始める前から顔を伏せ始めており、どうにもタイミングが合わないようだ。
もう一つは、鈴鹿スペシャルが本当に不味すぎて、ひろ美自身もえずきそうになってしまったというもの。しかしドラマの消え物(飲食物)にそれほど不味いものを用意するだろうか。
「2013年の本放送当時にNHKの公式サイトで公開されていた『スタッフ座談会』によると、鈴鹿スペシャルには本来、美味しくなるレシピが用意されていたとか。ところがひろ美役の薬師丸が演技の中でいろんな材料をがんがん追加していった結果、不味くなってしまったのだそうです」(前出・テレビ誌ライター)
その味について担当ディレクターは「実際にすごく不味い!」と明かしていた。そうなるとひろ美(薬師丸)は鈴鹿スペシャルを一気に飲み干し、その味に耐えながら演技を続けるも、あまりもの不味さゆえにえずいてしまったのではないだろうか。
未だに真相の明かされていないこの場面だが、「あまちゃん」ではほかにも水口役の松田龍平が自分のセリフに笑い出してしまったと思しきシーンもあった。そんなアクシデントもあえてそのまま残すところが「あまちゃん」流の演出なのかもしれない。