山田洋次監督が語った“映画館での楽しみ方”に対し、「全く賛同できない」との反論が相次いでいる。9月13日、監督にとって90本目となる映画「こんにちは、母さん」の公開中舞台あいさつでの発言が物議を醸している。
同作品は、主演に吉永小百合を据え、東京の下町で生きる等身大の家族の姿を描いた物語。山田監督によると、コロナ禍で大打撃を受けた映画館への想いが作品作りの背景にあったといい、「一度映画館に行く習慣を失ってしまった人が、この映画をきっかけに『映画館で映画を見るのはやっぱり楽しい』と思い直してほしいという想いを抱きながら作った」とのことだ。
また、最近の映画館について、「今は『大声で笑うな』とか『シートを蹴飛ばさないで』とか言われますけれども、あれはあまり好きではないんです。お金を払って来てもらっているのに、何で『これをしちゃダメだ』とか言われなきゃいけないのか。ぼくは大いに笑ってほしいし、座席ぐらい蹴飛ばしてほしい。ビール飲んだり、タバコ吸ったりしたっていいじゃないか。そう映画を楽しんでほしいという想いで作った。みなさんがワイワイ笑って映画を見てくれるのが、ぼくにとって嬉しいこと」と、作り手としての持論を展開した。
「この日、92歳の誕生日を迎えた山田監督ですから、やや時代錯誤な鑑賞方法を提言する形になってしまいました。中でも座席を蹴るのは、昨今の映画館では完全にマナー違反。一部からは『笑うぐらいは確かに許してほしい』との声があるものの、『全く賛同できない』『逆になんでお金払って他人の騒音を聞かされなきゃならんのか』『シートを蹴られた側の人の気持ちは考えないのかな』『監督の職人気質なところは尊敬できるが、映画館に限らず公共の場のマナー厳守は大事かと…』などの指摘が大半になっています。監督として観客のストレートな反応を感じたいのかもしれませんが、集中して鑑賞したい人も多く、今の時代、なかなか共感を得るには至らないコメントだったといえますね」(テレビ誌ライター)
大御所監督の“映画が娯楽の王様だった時代”への熱い思いのようなものは伝わってくるが、主演の吉永もさすがに困惑するコメントだったかも。
(木村慎吾)