10月3日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第2回では、終盤でヒロインの花田鈴子(澤井梨丘)と親友のタイ子(清水胡桃)が、卒業後の進路を話し合うことに。そこで交わされた会話がいまいちピンとこないという視聴者も少なくなかったようだ。
将来は実家の風呂屋を継ぐという鈴子に対し、タイ子は女学校に行きたいとの夢を語りつつ、家が貧乏なので進学できないという。ここでタイ子は、鈴子のように歌が上手かったら花咲に行きたかったと吐露。“花咲”とは、ヨーロッパ風の歌とダンスを取り入れた「花咲少女歌劇団」のことだった。
その花咲が、宝塚少女歌劇団をモデルにしているのは明らか。当時、タイ子と同年齢の女子たちは宝塚音楽歌劇学校(現・宝塚音楽学校)に憧れていたようだ。
だが、二人が通っているのは小学校だ。よもやタイ子は小学校を卒業したらすぐ、花咲少女歌劇団の歌劇学校に進学したいというのだろうか? その疑問を解消するには、物語の舞台である大正15年(1926年)当時の学制をひもとく必要があるという。
「当時の義務教育は尋常小学校の6年間のみ。卒業後は多くの生徒が2年制の高等小学校に進学したほか、5年制の中学校(旧制中学校)や高等女学校に進む者もいました。一方で小学校を卒業してすぐ、宝塚音楽歌劇学校に進学することもできたのです」(芸能ライター)
現在の宝塚音楽学校では入学年齢が満15~18歳となっており、中学卒業時か高校卒業時に入学するケースが多い。いずれにせよ義務教育を修了しないと入学できない形だ。
一方で戦前の宝塚音楽歌劇学校では、入学年齢が数え年の13歳~19歳となっていた。すなわち小学校卒業者も受け入れていたのである。当時の義務教育は尋常小学校のみだったゆえ、「義務教育修了者を受け入れる」という意味では、今も昔も制度的には変わらないのである。
「鈴子のモデルである笠置シヅ子も小学校卒業後、宝塚音楽歌劇学校を受験しています。一方でタイ子のその後は分かりませんが、『ブギウギ』の公式サイトでは成長したタイ子を藤間爽子が演じることも明かされており、二人の親友関係は今後も続いていくようです」(前出・芸能ライター)
風呂屋の看板娘から、日本中を沸かせる「ブギの女王」へと成長していくであろう鈴子。その過程を詳らかにしていく今後の展開に、視聴者も興味津々だろう。