そんなわけあらへんやろ! そういぶかる声も聞こえてきたようだ。
10月12日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第9回では、ヒロインの花田鈴子(澤井梨丘)が百日咳と診断されるも、実はただの風邪だったことが判明。お見舞いに来た梅丸少女歌劇団(USK)の同期生二人と仲直りする様子が描かれた。その回にて、明らかに現実とは異なる謎演出が見受けられたという。
USKでは初の単独公演が開催されることになったが、研修生の鈴子と白川幸子(小南希良梨)、桜庭辰美(木村湖音)からデビューできるのは一人だけ。ライバル関係がヒートアップするさなかに鈴子が倒れてしまい、百日咳との診断を聞いた林部長(橋本じゅん)は幸子と辰美に「単独公演も間に合わんやろうな」と告げていた。
幸子と辰美は鈴子の実家である銭湯のはな湯を訪問。鈴子はすっかり回復していたが、仲の悪い二人を仲直りさせようと一計を案じ、百日咳で苦しんでいるフリだ。ところが弟がただの風邪だとバラしてしまい、鈴子の策略は崩壊。銭湯の広い湯船に浸かりながら鈴子は幸子と辰美に謝罪し、それをきっかけに3人の結束は強まったのである。
「この場面で3人は肩を露わにしながら入浴。12~14歳の子役が肌見せしながら銭湯に入るシーンに、一部の視聴者から《湯上がりのシーンで十分だろう》《いまの時代にふさわしくない》といった批判の声があがっています。一方では本作のモデルである笠置シヅ子の実家も銭湯だったことから《考証的に問題ない》《ごく自然な光景だった》といった反論も出ることに。朝ドラでは以前から入浴シーンがひんぱんに映し出されており、視聴者のほうもすっかり慣れっこでしょう」(テレビ誌ライター)
ともあれ今回の銭湯シーンを巡って議論が巻き起こっていたことは確かであり、批判する側にも擁護する側にもそれなりの論理があるようだ。
それに対して、今回の第7回で示された演出に関して<明らかにおかしい>との指摘もあるという。賛否両論ではなく、確実に間違った描写が映し出されたというのだ。
「風邪で寝込んでいた鈴子は桃を食べたいと訴えるも、どうやら桃の季節ではないらしく、母親のツヤ(水川あさみ)は町中を探し回るも見つかりません。ところが住み込み従業員のゴンベエ(宇野祥平)がなぜか艶々の桃を差し出し、鈴子は桃にありつくことができたのです」(前出・テレビ誌ライター)
この場面、なぜゴンベエが桃を持っているのかと疑問に思った視聴者も多かっただろう。だがそれ以上に謎なのは、そもそも「桃の季節ではない」という前提が間違っていることなのである。
前日の第8回では林部長が、3カ月後の12月3日に単独公演を開催すると宣言していた。すなわち作中の時代設定は昭和2年の9月ということになる。それゆえ鈴子が倒れたり、風邪で寝込んでいたのも9月中のはずだ。
一方で桃の旬は夏であり、7~8月が収穫期だが、9月時点でもまだ収穫は続いている。昭和初期にはまだ冷蔵技術が広まっていなかったものの、9月中なら大阪中を探し回っても桃が見つからないということはあり得ないだろう。
「桃を探し回るツヤに対し、行商人は『桃? いつや思うてんの!』と吐き捨てていましたが、冬や春ならともかく9月にそのセリフはあり得ません。いったい作中の時代設定はどうなっているのか。もしや制作陣が桃の旬を間違えていた可能性もありそうです」(前出・テレビ誌ライター)
桃の節句(ひな祭り)が3月3日なことから、制作陣は桃の時期が春だと勘違いしていたのではないか。そう疑ってしまいかねない描写になっていたようだ。