2018年に引退した元歌手・安室奈美恵の楽曲が、11月16日に各種サブスクリプション(定額)サービスや公式YouTubeチャンネルから視聴できなくなった影響は現在も続いているようだ。今回の件で、権利者がコンテンツを引き上げるとユーザーの手元には何も残らないというサブスクの弱点についての指摘や、ファンからサブスク復活を願う声がやまないことを11月28日、ニュースサイト「日刊ゲンダイDIGITAL」が報じている。
「また、最初にネットメディアが報じた安室の楽曲の消滅の理由について、ゲンダイの記事では、後追いしたスポーツ紙が各紙横並びで関係者の声として報じていた『契約の見直しやリミックスがあるゆえの、重複している楽曲を整理するため』ではないことを示唆していましたね。週刊誌記者の話として2014年に安室が所属事務所から独立を画策していると報じられ、いったん思いとどまったものの翌年に事務所を移籍した際に、楽曲の権利関係が乱れてしまったという可能性を紹介していました」(芸能ライター)
いずれにせよ、ネットではゲンダイの記事を受け、「サブスクに頼るとこういうことが起こることもあるってこと。ずっと確実に配信され続ける保証はないんすよね」といった驚きの声が続出。その一方で、楽曲の権利はアーティスト本人だけでなく作曲者・作詞者・所属事務所・レーベルがそれぞれ所持していると指摘したうえで、「今後こういった問題は特に事務所を移籍したアーティストや引退したアーティストにも起こりそうだな…。アムロちゃんの件で、これからはCDをもっと大事にしようと思った」「引退前は全くといっていいほどファンじゃなかったけど、Spotifyでたまに聞くようになって、今回の件を機にCD買いました」など、CDの存在価値に気付いたという意見も散見された。
「登録された数多くのアーティストの楽曲を聴けるサブスクですが、お気に入りの歌手の楽曲が配信停止になればそれまで、というデメリットを、サブスクから安室ファンになった人たちが、痛感。楽曲消滅後、安室さんのCDなどが一時的に売り切れになる事態も起きています。もっとも、SMAPやTOKIOなど旧ジャニーズ事務所(SMILE-UP.)の一部グループやモーニング娘。、CHAGE&ASKA、山下達郎といったアーティストたちは以前からサブスクでの配信を許諾していません。そもそもアーティストにしてみればCDが売れたほうがはるかにありがたいですからね」(前出・芸能ライター)
今回の騒動を機に、改めてCDやBlu-rayなど“リアルな記録メディア”が見直されるきっかけとなるかもしれない。
(柏原廉)